2017 Fiscal Year Annual Research Report
Theory on active traffic management for expressways in Japan
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16H04433
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
塩見 康博 立命館大学, 理工学部, 准教授 (40422993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 伸宏 京都大学, 工学研究科, 教授 (80232883)
井料 美帆 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (80469858)
小根山 裕之 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (90313105)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 交通流 / アクティブトラフィックマネジメント / データ同化 / 交通容量 / 高速道路 / 交通シミュレーション / 走光型視線誘導灯 / 自動走行車両 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は高速道路,その中でもとりわけ単路部のボトルネックを対象に,ソフト的な手段で渋滞発生時交通量の増加,あるいは交通渋滞の緩和を行うための理論的・実証的研究を行うことを目的としている.平成29年度は実証的なアプローチとして,i) 都市間高速道路の顕著なボトルネック9箇所を対象とした8年間の交通容量経年変動の分析,ii) 追従実験に基づく走光型視線誘導灯がドライバーの運転挙動に及ぼす影響の分析,に取り組んだ.また,理論的なアプローチとして,i) 多種データの融合的利用に基づくパーティクルフィルタに基づく車種別交通状態推定手法の開発,ii) 自動走行車両・コネクティッド車両への道路側からの介入によるショックウェーブ緩和制御アルゴリズムの開発とシミュレーションによる検証を行った.また,多様な施策を評価する総合的なプラットフォームとするべく,商用ミクロ交通シミュレータVISSIMを用いたサグ渋滞を再現するための設定方法の検討も行った. より具体的には,実証研究i)では,多くのボトルネック地点で交通容量は漸減傾向にあり,特に分合流を原因とするボトルネックでその傾向が大きいこと,ii)では,渋滞を抜けて加速する場面において走行型視線誘導システムが車頭時間の低下,すなわち捌け交通容量の増加に寄与することを明らかとした.また,理論研究i)については,車両検知器データと大型車のプローブデータをマルチクラスのマクロ交通流モデルと同化することにより,縦断勾配の大きい地点で大型車と小型車の速度差が顕著となり,渋滞の発生に至るメカニズムを明らかとした.理論研究ii)においては,ショックウェーブの発生を検知した場合に,自動走行車両を適切に減速させることで総遅れ時間の改善・急減速回数の減少を実現可能であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画当初より変更した点は以下の通りである. i) 各施策の総合評価プラットフォームとして当初は多車種・多車線マクロ交通流モデルを用いる予定であったが,商用ミクロ交通流シミュレーションパッケージを用いても単路部ボトルネックの渋滞現象を再現可能であることや多様で柔軟な評価・検証が可能であること,そして今後の展開を考えたときに汎用性が高いことを理由に後者に変更した. ii) 可変制限速度制御は,現在の日本の交通管理体制,およびドライバーの規制に対する遵守性向を鑑みた場合に,あまり有効ではないことが一昨年度の成果として明らかになったため,今後の普及が予想される自動走行車両を用いた制御にフォーカスを当てるように変更した. いずれにおいても,ある程度の進捗は得られており,研究計画全体としてはおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も実証・理論の両側面から研究を行う.具体的に取り組むテーマは以下の通りである. i) 個別車両データを用いた交通流特性の経年変動の分析:交通容量が漸減傾向にあることより,その原因を詳細に把握するため,過去にパルスデータが得られている地点を対象に,当該地点のパルスデータを新たに収集することで,2時点間でのミクロな交通流特性の変化を明らかとする.この結果はミクロ交通流シミュレーションのパラメータに考慮する. ii) 走行型視線誘導システムの影響を考慮した追従モデルの構築:これまでの実証研究の成果をベースとし,サグ渋滞現象を再現する追従モデルに走行型視線誘導システムの影響を考慮する項を加え,当該システムの効果をモデルベースで定量化する.また,その結果をミクロ交通流シミュレーションに反映させるための方法を検討する. iii) 機械学習を用いた交通状態の短期変動予測:深層学習などの手法を用い,リアルタイムで収集可能な各種データを統合的に用いることで5分先~30分先までの短期的な交通状態の変動を予測するモデルを構築する.これにより,交通状態が悪化する予兆に基づいて各種制御を実行することで,渋滞の発生を未然防止することを目指す. iv) ミクロ交通流シミュレーションを用いたデータ同化システムの構築:Pythonを用いてリアルタイムデータとミクロ交通流シミュレーションをパーティクルフィルタにより同化し,逐次的に現象再現性の高いパラメーターセットを更新する方法を構築する.また,このシミュレーターをプラットフォームとして,自動走行車両によるショックウェーブ緩和,車線変更誘導,および走行型視線誘導システムの運用といった施策を統合的にマネジメントし,それらの効果を評価する.
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Research Products
(17 results)