2016 Fiscal Year Annual Research Report
長期の時系列変化を考慮した東京都市圏交通行動の解明
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16H04434
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Research Institution | The Institute of Behavioral Sciences |
Principal Investigator |
毛利 雄一 一般財団法人計量計画研究所, その他部局等, 研究員 (60246692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 敦 一般財団法人計量計画研究所, その他部局等, 研究員 (30419064)
石神 孝裕 一般財団法人計量計画研究所, その他部局等, 研究員 (50419032)
杉田 浩 一般財団法人計量計画研究所, その他部局等, 研究員 (70419050)
森尾 淳 一般財団法人計量計画研究所, その他部局等, 研究員 (80419085)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 交通計画 / 交通行動分析 / ライフスタイル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東京都市圏における過去の交通行動とその要因を捉え、その変化に基づいたモデル化と中長期的な将来シミュレーションを実施し、今後大きく変貌することが予想される東京都市圏の政策展開への知見を得ることを目的とするものである。平成28年度については、以下の示すように、時系列の多時点のPT調査データに基づく交通行動特性の時系列分析とその要因の解明を行った。 1.交通行動特性の時系列分析と社会経済要因の変化把握 1968~2008年の10年毎に実施されている5回の東京都市圏PT調査データに基づき、各時代における交通行動特性とその変化を分析した。その結果、長期的な高齢化の進行、女性の社会進出、若者のライフスタイルの変化等によって、その交通行動特性も大きく変化していることが確認された。また、過去の東京都市圏における市街地の拡大(郊外化)と近年の都心居住に伴う通勤交通の変化を個人属性との関係から分析し、高齢者及びその世帯構成の変化が居住特性に大きく影響していることが把握された。高齢化の進行、女性の社会進出等の交通行動特性に影響を与える社会経済情勢、ライフスタイル、技術革新、関連制度の動向等をレビューし、整理した。 2.社会経済要因と交通行動の変化の関係分析 上記の分析・把握を踏まえ、交通行動の変化は、性・年齢の個人属性要因だけではなく、時代とともに変化してきた職業、所得、世帯構成等の変化が影響していることが把握された。また、これまでのPT調査では把握・分析ができていなかった世帯属性、所得・消費と交通行動特性に着目し、ライフスタイルと交通行動に関するアンケート調査(WEB調査を想定)を実施した。この調査結果は、先の分析結果の検証と深度を図るとともに、今後のシミュレーションモデル構築に活用する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を進めるにあたっては、連携研究者とのワーキングを5回開催し、研究分担者の分析結果等の議論を踏まえて、進捗状況の確認、今後の分析方針の確認を随時行った。 また、連携研究者だけでなく、他の研究者からの話題提供や意見収集等も踏まえて、本研究の追加的な国内外の情報収集や既往研究のレビュー等を行い、研究・分析内容の深度化を図った。 平成28年度の進捗状況については、当初計画通り、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、平成29年度には、中長期を予測するシミュレーションモデルの構築、最終年度の平成30年度には、構築されたモデルを用いて、将来シナリオに基づく予測シミュレーションの実施と今後の政策提案を行う。 特に、平成29年度の中長期を予測するシミュレーションモデルの構築については、PT調査では把握できない訪日外国人を含めた圏域外居住者の交通行動データを、既存のビッグデータを活用して分析するとともに、PTデータとビッグデータの融合、ビッグデータの量的情報とアンケート調査による質的情報のデータ融合等の検討を進める。 さらに、シミュレーションモデルの構築においては、一般的に適用される四段階推計法の課題を踏まえ、過去の交通サービス水準、土地利用等の時系列の変化をゾーン別に捉えるとともに、詳細な性・年齢階層、就業・非就業、自動車免許保有、自動車保有等の個人属性に加え、世帯属性、所得等のこれまで反映されていない政策変数の導入を検討し、1日の時間の使い方(自由時間と先決されている固定時間)等を分析可能とし、自由時間の増減やそれに伴うリクリエーション活動の増減等、生活の質を視野に入れた多様な評価指標のモデル化を行うこととする。
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