2020 Fiscal Year Annual Research Report
トリチウム汚染水の海洋放出処分に向けた社会的合意形成の為のトリチウム生物影響研究
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16H04629
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鳥養 祐二 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (80313592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田内 広 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (70216597)
趙 慶利 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (90313593)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トリチウム / ヒト細胞 / モンテカルロ / トリチウム水 / トリチウムチミジン / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年はコロナの関係でトリチウムを用いたヒト細胞の培養試験は行えなかったが、代わりにモンテカルロ計算コードPHITSを用いて、トリチウムのβ線がヒト細胞に与える影響のモデル解析を行った。これまでの知見では、トリチウムのβ線の水中での飛程は5マイクロメートル程度であり、細胞質内にトリチウムが存在する場合でも細胞核にトリチウムのβ線のエネルギーを付与できることになっていた。トリチウムのβ線の挙動を詳細に検討した結果、トリチウムのβ線は、トリチウムの存在位置から0.05マイクロメートルの距離でエネルギーの80%以上を失い、0.8マイクロメートルで90%以上のエネルギーを失うことが分かった。そこで、細胞核の中心から細胞の外に向けてトリチウムの存在位置をずらしながら細胞に付与するエネルギーを計算した結果、DNAが存在する細胞核にトリチウムのβ線のエネルギーを付与するためには、トリチウムは細胞核内に存在する必要があることが明らかとなった。また、トリチウム水を人体に取り込んだ場合に、人体のトリチウム濃度から細胞核に与える線量を求める換算係数を求めた。この換算係数を用いることにより、人体にトリチウムを取り込んだ場合のDNA損傷の指針を得ることができる。 本研究過程で開発された、生体中のトリチウム濃度測定法は、迅速に生体有機物中のトリチウム濃度が測定できる方法であり、この技術を応用して、魚中のトリチウムの迅速測定法の開発を行った。既往の魚中トリチウム濃度の測定には1ヶ月以上の時間が必要であるが、本法を用いることにより1日に数試料の測定が可能となる。この方法が確立されると、トリチウム処理水の海洋放出時の風評被害の払拭に大きく寄与できる。 本研究成果を含むこれまでのトリチウム研究成果が求められ、2021年度から環境省のALPS処理水に係る海域モニタリング専門家会議のメンバーに選任された。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)