2016 Fiscal Year Annual Research Report
修飾核酸を標的とした新規がん免疫病態診断マーカー探索と個別化がん免疫療法への応用
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16H04704
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
富岡 佳久 東北大学, 薬学研究科, 教授 (00282062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 宏樹 東北大学, 薬学研究科, 助教 (70423605)
松本 洋太郎 東北大学, 薬学研究科, 講師 (90420041)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腫瘍マーカー / 修飾核酸 / がん免疫 / メタボロミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、修飾核酸の標的メタボロミクスによる、がん免疫病態を診断する腫瘍関連バイオマーカーの探索・同定と個別化がん免疫療法の新しい治療戦略への応用を目的とした。本年度は、極性化合物の保持に有用なアダマンチル基カラムを用いたマルチカラム法により、従来法よりも迅速なLC/MS/MSを用いた15種類の修飾核酸の一斉分析法を開発し、その成果を論文発表した。衝突誘起解離による核酸塩基とリボースの特徴的開裂パターンに着目し、標準品として入手困難な修飾核酸類のselected reaction monitoringによる探索的定量を行える分析環境を整えた。EL4胸腺腫と3LL肺癌を同系マウスに皮下移植した担がんマウスを作製し、その腫瘍増殖を確認した。現在、担がんマウス生体試料における修飾核酸類の変動解析を進めている。 担がん病態で増加が報告されている1-メチルアデノシンがマウス脾臓T細胞の増殖を抑制することを見出した。一方、フローサイトメトリー解析では1-メチルアデノシンによるリンパ球活性化マーカーCD69の抑制は認められないことから、T細胞の抑制効果が部分的である可能性が示唆された。1-メチルアデノシンの産生に関与が示唆されるEcto-5’-nucleotidase/CD73リコンビナントタンパク質をCHO細胞発現系を用いて高純度に精製することに成功した。本リコンビナントタンパク質はアデノシン1リン酸をアデノシンに代謝する活性を有することが我々のLC/MS/MS解析法によって確認された。CD73リコンビナントタンパク質とLC/MS/MS分析法によるアデノシン修飾体の産生経路を解析する分子基盤を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定通りにLC/MS/MSによる15種類の修飾核酸一斉分析法を開発し、マルチカラム法による迅速化を行うことにも成功した。しかしながら、血液や尿試料を測定する場合、試料マトリックスによるイオン化抑制の影響が大きいことが明らかになり、生体試料中の修飾核酸動態の解析がやや遅れる要因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
生体試料中の修飾核酸の一斉分析にはイオン化抑制の影響を完全に回避することは困難であるが、定性的な修飾核酸プロファイル解析には資することができると考える。そこで、担がんマウス生体試料中の修飾核酸についてまず初めに定性的解析を行い、候補となる修飾核酸の選定を優先して行う。候補核酸の正確な体内動態の把握が必要な場合は、安定同位体標識内部標準物質を入手あるいは合成し、標的を絞った精密測定法を開発する。 1-メチルアデノシンにT細胞抑制作用が示唆されていることから、修飾核酸による免疫抑制機構解明の突破口として1-メチルアデノシンの免疫抑制作用とその産生経路について解析を進める。
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Research Products
(1 results)