2017 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性心疾患感受性分子群をターゲットとした創薬とその機能解析
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16H04726
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
尾崎 浩一 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 臨床ゲノム解析推進部, 部長 (50373288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 薫 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, チームリーダー (50375664)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 虚血性心疾患感受性分子 / 創薬 / 低分子化合物 / 分子機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
虚血性心疾患(Coronary Artery Disease; CAD)に遺伝学的に関連した分子群 BRAPやFURIN等の相互作用に介入できうる低分子の探索からの創薬を目的として研究を進めている。これまでにCAD感受性分子BRAP-NFKBIBの相互作用に介入できる低分子化合物ついては、東大創薬機構のコアライブラリ10,000個の低分子化合物を新規に開発したBRAP固相化ELISAスクリーニングを施行し、再検証を繰り返すことにより、その相互作用を薬剤濃度 2uMで50%程度阻害できうる低分子化合物を5個同定してきた。また、これらの低分子は培養ヒト動脈血管平滑筋細胞の増殖を阻害できることも確認してきた(XTT細胞増殖アッセイ)。また、BRAPについては、この分子に新規に結合する分子がCAD感受性であることも大規模なケース・コントロール関連解析により見出しており、この分子の詳細な機能解析およびこれらの分子間相互作用を阻害した時に与える血管平滑筋細胞への増殖効果等により創薬ターゲットとしての可能性を精査している。FURIN-LDLRの相互作用に介入できる低分子化合物については、FURINを96ウェルプレートに固相化することによるELISA系を開発し、これまでに東大創薬機構のコアライブラリ10,000個をスクリーニングすることにより検証実験を進めてきたが、現在までにFURIN-LDLRの相互作用に介入できる低分子の発見には至っていない。FURINの機能解析の一環として、現在までにヒト動脈血管平滑筋細胞で効率よくFURINをノックダウンできるsiRNAを取得しており、LDLRの発現や安定性、脂質関連分子等に関連等について機能解析を進めることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
虚血性心疾患感受性分子 BRAP-NFKBIBの相互作用に介入できる低分子については、ELISA系による検証を再度繰り返し、2uM濃度で確実に相互作用を阻害(~50%)できる分子として5個の低分子化合物を同定し、これらの分子がヒト血管平滑筋細胞の増殖を阻害することを見出してきている。さらに、BRAPについては新たに結合することを発見した分子をコードする遺伝子内のSNPがまた虚血性心疾患感受性であることも見出しており、新たな創薬ターゲットとなりうる可能性がある。FURIN-LDLRの相互作用に介入できる低分子化合物については、これまでにコアライブラリ10,000個を繰り返しスクリーニングし検証実験を進めてきたが、現在までにFURIN-LDLRの相互作用に介入できる低分子は発見には至っていないが、この過程での安定したスクリーニング系の開発やそのノウハウの蓄積により、さらに種類の異なる新たな低分子ライブラリ(3,300低分子からなるValidated compoundライブラリ)をスクリーニングする準備が整っている(東大創薬機構より提供予定)。また、FURINの機能解析の一環として、現在までにヒト動脈血管平滑筋細胞で効率よくFURINをノックダウンできるsiRNAを取得している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに効率的な低分子化合物を同定するためにこれら5個のコア化合物に類似した低分子化合物(~100低分子)を東大創薬機構より提供を受け、スクリーニングを進める。効率的な阻害が確認できた分子については培養ヒト動脈血管平滑筋細胞を用いた増殖阻害効果を確認し、動物での試験に耐えうる低分子化合物の同定を目指す。また、BRAPについては、この分子に新規に結合する分子をコードする遺伝子内のバリアントが虚血性心疾患感受性であることも見出しているが、この分子の詳細な機能解析およびこれらの分子間相互作用を阻害した時に与える血管平滑筋細胞への増殖効果等により創薬ターゲットとしての可能性を精査する。また、FURIN-LDLRの相互作用に介入できる低分子化合物については、種類の異なる新たな低分子ライブラリ(3,300低分子からなるValidated compoundライブラリ)を東大創薬機構より提供してもらい、同様のELISA系を用いた阻害低分子スクリーニングを施行し、ヒト動脈血管平滑筋細部の増殖能に影響を与える低分子を選択する(Validated core ライブラリで見出せなければ22,400低分子からなるAdvanced coreライブラリをさらに使用する)。FURINの機能解析として、ヒト動脈血管平滑筋細胞で効率よくFURINをノックダウンできるsiRNAを取得しているが、今後はこのsiRNAや強制発現系を用いて、LDLRの発現や安定性、脂質関連分子等に関連した機能解析もできる限り進める。
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[Journal Article] Comparative analysis of cerebrospinal fluid metabolites in Alzheimer’s disease and idiopathic normal pressure hydrocephalus in a Japanese cohort.2018
Author(s)
1)Nagata Y, Hirayama A, Ikeda S, Shirahata A, Shoji F, Maruyama M, Kayano M, Bundo M, Hattori K, Yoshida S, Goto Y, Urakami K, Soga T, Ozaki K and Niida S.
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Journal Title
Biomarker Research
Volume: 6
Pages: 1, 11
DOI
Peer Reviewed
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