2017 Fiscal Year Annual Research Report
選択的スプライシング依存的なシナプス形成制御の構造基盤
Project/Area Number |
16H04749
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山形 敦史 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (20463903)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 結晶構造解析 / シナプス / 蛋白質複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、SALM と PTPδ との複合体の結晶構造解析に成功した。立体構造に基づいた変異体を作製し、表面プラズモン共鳴による定量的な相互作用解析と、共培養によるシナプス形成解析を行い、相互作用に必須な残基を同定したと同時に、相互作用とシナプス形成の関連を示すことができた。また、SALM 独自のメカニズムとして、SALM の二量体形成を新たに見出した。二量体化の阻害によって、 PTPδ との複合体形成は影響を受けないにも関わらず、シナプス形成を著しく阻害することが明らかとなり、二量体化によるシナプス形成という新たなメカニズムを見出した。これらの結果をまとめて、Nat. commun. 誌(Goto-Ito, S., 2018) に投稿した。 一方、LRRTM と Neurexin (Nrxn) についても、複合体の結晶構造解析に成功した。同じく、立体構造に基づいた変異体解析によって、相互作用に必須な残基を同定すると共に、相互作用の阻害がシナプス形成に影響を与えることを明らかにした。構造とそれに基づく解析により、LRRTM と Nrxn の相互作用が Nrxn の選択的スプライシングによって制御されるメカニズムを明らかにした。また、立体構造から、LRRTM ファミリーの中で LRRTM1 と LRRTM2 のみが Nrnx と結合し、LRRTM3 と LRRTM4 は Nrxn と結合できないことを予想し、実際に相互作用解析によりそれを証明した。現在、これらの結果をまとめ、論文投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請は、二つのシナプスオーガナイザー複合体(SALM-PTPδ、LRRTM-Nrxn)について結晶構造解析と、それに基づいた相互作用解析及びシナプス形成解析を行い、複合体形成とそれによるシナプス形成の機構を明らかにすることを目的としている。 現在までに、SALM-PTPδ については全ての解析が終了し、投稿論文の形で発表することができた。また、LRRTM-Nrxn についても現在論文投稿中であり、恐らく今年度中の発表が可能と思われる。 以上より、(2) おおむね順調に進展している状況と言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」で述べたように、本申請の研究はほぼ終了しており、論文投稿を完成させることが最も重要な推進方策と言える。また、現在ターゲットとしている分子以外にもシナプスの形成や維持に関わる分子についても、研究を進めていき、さらなる発展を目指す。
|