2018 Fiscal Year Annual Research Report
Structural and Functional analyses of iron-sulfur clusters biogenesis systems under the anaerobic conditions
Project/Area Number |
16H04754
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
和田 啓 宮崎大学, 医学部, 准教授 (80379304)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 康弘 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (10154874)
藤田 祐一 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (80222264)
福山 恵一 大阪大学, 工学研究科, 招へい研究員 (80032283)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 鉄硫黄クラスター / 結晶構造 / 無酸素実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄硫黄クラスター(Fe-S)は、酸素に脆弱なタンパク質コファクターである。Fe-S クラスターが生体内において、どこでどのように生合成されるのか、その分子機構解明は遅々として進んでいない。この原因は、Fe-S クラスターの酸素へ不安定性にあり、遺伝学的には生合成マシナリー群は同定されたものの、合成途上のクラスターを実験的に捉えた例は皆無である。 本課題では、細胞内をミミックした無酸素条件下での機能解析を遂行し、クラスター合成反応を試験管内でコントロールする新たな系(無細胞"ex situ"系)を確立することを目指している。さらに、ダイナミックな構造変化を伴う生合成コア複合体の動きを固定・制御することで、多段階に亘る合成途上の中間体クラスターをトラップし、それらの配位構造から生合成メカニズムを解き明かす。また、無細胞クラスター合成系を利用した新規センサーFe-S タンパク質 CnfR の構造機能解析も展開する。これらの目的を達成するために、本年度は以下の項目を実施した。
・前年度に明らかにしたコア複合体内部の硫黄トンネルの実証を進めた。コア複合体の硫黄結合部位を実験的に決定するために、硫黄結合型コア複合体構造の決定を進めた。硫黄化合物のコア複合体へのソーキングを行い、これまでに幾つかの条件での立体構造を決定した。 ・ゲルシフト法を用いて、CnfRに結合するDNA配列決定を進め、CnfRに結合する約30bp前後のDNA断片を得ることに成功した。 ・前年度までに精製系を確立したFe-Sクラスター結合CnfRを用いて、結晶化スクリーニングを行った。幾つかの条件において微結晶を得ることができた。これらの結晶をSPring-8 BL32XUにおいて回折能をチェックしたところ、約10A分解能の反射を確認することができている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の予定では、(1)コア複合体構造解析による硫黄結合部位、(2)CnfRが結合するDNA断片の最小化を掲げていた。両項目共に、順調に解析が進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本課題では無酸素条件下/試験管内でクラスター合成を人為的にコントロールする無細胞実験系を確立する。これにより、一過的なFe-Sクラスターがコア複合体の中で段階的に組み上がる過程(配位子スワッピングを予想)を捕捉する。合成ステップ毎の構造を決定することで、材料である硫黄原子、鉄原子および還元力(e-)が、どのように供給され変換されるのかを可視化する。 また、新規センサータンパク質CnfRについて、その構造と機能の相関を解き明かすことを目的としている。 ・Fe-S結合型コア複合体の結晶化スクリーニングを無酸素条件下で進めることで、ホロ型SufBCD複合体の構造決定を目指す。 ・鉄または硫黄源の存在下におけるコア複合体の構造解析を行い、鉄・硫黄の供給経路を明らかにする。 ・CnfRに変異を導入することでFe-Sクラスターの安定性向上を図り、結晶化スクリーニングを実施する。 ・CnfR-DNA複合体の結晶化スクリーニングを実施し、CnfRのDNA結合構造から機能を推定する。
|