2017 Fiscal Year Annual Research Report
炎症反応と低酸素応答を調節するバイオプローブの作用機序と情報伝達の分子基盤の解明
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16H04910
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
片岡 孝夫 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 教授 (20242307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 賢一 岩手大学, 農学部, 教授 (30344625)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | allantopyrone A / オイデスマン誘導体 / キナクリン / TNFレセプター1 / LTβ / RelA / RelB |
Outline of Annual Research Achievements |
Tumor necrosis factor α (TNF-α)は、TNFレセプター1へのアダプタータンパク質TRADD、RIP1、TRAF2の動員を誘導する。ヒト肺がん腫A549細胞において、allantopyrone Aは、TNFレセプター1へのTRADD、RIP1、TRAF2の動員を阻害した。さらに、ヒト胎児腎HEK293T細胞において、allantopyrone Aは、TNFレセプター1の細胞外ドメインの架橋を誘導した。以上の結果から、allantopyrone Aは、TNFレセプター1の細胞外のcysteine-rich domainに結合し、架橋することによって、TNF-αによるシグナル伝達経路を阻害することが示唆された。 Lymphotoxin β (LTβ)は、非古典的nuclear factor κB (NF-κB)シグナル伝達経路を活性化する。LTβによって活性化されるNF-κB応答性ルシフェラーゼ活性とNF-κB標的遺伝子であるICAM-1のmRNA発現に対するオイデスマン誘導体の影響を検討したところ、α-ブロモケトンやα,β-不飽和カルボニル基を有するオイデスマン誘導体が阻害活性を示した。さらに、α-ブロモケトンを有するオイデスマン誘導体は、単一のα,β-不飽和カルボニル基を有するオイデスマン誘導体に比較して、NF-κBサブユニットRelBの核移行を強く阻害することが明らかになった。 TNF-α及びinterleukin-1αによって誘導されるICAM-1の発現をアミノアクリジン誘導体の一つであるキナクリンが阻害することを見出した。キナクリンは、TNF-αによって誘導されるNF-κBサブユニットRelAのリン酸化及び核移行を阻害しなかったが、ICAM-1プロモーターへのRelAの結合を顕著に阻害した。さらに、キナクリンはTNF-α及びFasリガンドに対するA549細胞の感受性を増強すること、並びに抗アポトーシスタンパク質c-FLIPとMcl-1の発現を阻害することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、炎症性サイトカインの情報伝達と遺伝子発現、並びに低酸素誘導因子の情報伝達に対する小分子化合物の作用機序を解析した。Allantopyrone A、オイデスマン誘導体、キナクリン、アシアチン酸、panduratin誘導体等の作用機序に関する研究成果が得られ、論文発表と学会発表を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、炎症性サイトカインの情報伝達と遺伝子発現、並びに低酸素誘導因子の情報伝達に作用する小分子化合物の作用機序に関する研究成果をさらに発展させ、論文発表及び学会発表を行う。
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Research Products
(10 results)