2017 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外分光法による森林地下部炭素貯留量の時空間変動の解明
| Project/Area Number |
16H04929
|
|---|
| Research Institution | Hokkaido University |
|---|
Principal Investigator |
中路 達郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (40391130)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小熊 宏之 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 室長 (10342734)
牧田 直樹 信州大学, 学術研究院理学系, 助教 (40723086)
片山 歩美 九州大学, 農学研究院, 助教 (70706845)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
| Keywords | PLSRモデル / 分光反射計測 / 森林土壌 / 有機物 / 微生物呼吸 / 樹種間差 / 深度分布 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
森林土壌中の有機物組成および水分含量を簡便かつ迅速に計測することを目的とした分光計測手法を開発し、土壌からのCO2放出ポテンシャルの空間変動の評価を目指して室内および野外計測実験を行った。北海道大学苫小牧研究林（N42.71°、E141．57°）の未成熟森林土壌に立地する落葉広葉樹二次林および人工造林地において13樹種の樹木（針葉樹6種、広葉樹7種）を対象に、リター、有機物土壌（深度0-10cm）および鉱物土壌（深度10-20cm）を採取しCO2放出速度を計測したのち、生土から風乾状態まで土壌含水量を5段階に変化させながら近赤外～短波長赤外波長（0.9～2.4μm）の連続分光反射率を計測した。その後、乾燥土壌中のリグニン、セルロース、全炭素、全窒素の各含有量を定量し、これらの成分とCO2放出速度との関係性を調査した。採取土壌の解析結果をもとに分光反射率から土壌の各成分を推定するPLSRモデルを作成した結果、幅広い水分状態の土壌において、当初目指していた、水分、容積重、窒素、炭素、リグニン、セルロースの含有量を誤差6～10.3％で推定することが可能になった。重回帰分析の結果、土壌中の微生物呼吸は土壌水分、窒素、セルロース含有量を用いることで2.1％の誤差予測することが判明した。野外計測で使用可能な分光放射観測プローブ（直径1cm長さ60cm）を自作し、林内における2cm深度毎・樹種別の連続分光反射率を計測した。その観測値に、上述の推定モデルを適用し、土壌深度・樹種ごとのCO2放出ポテンシャルを推定したところ、野外で実測した土壌微生物呼吸速度に対してr=0.62、傾き0.84の有意な関係で示される推定結果を導く事ができた。これらの結果は、野外森林土壌の有機物組成とCO2放出ポテンシャルを推定する新しい分光観測法の開発に道筋を示すものであり、研究成果がうまく出たことを意味している。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に予定していた事項として、１）野外観測システムの開発、２）野外で実測した森林土壌の有機物組成とCO2放出ポテンシャルの空間的異質性の推定、の両方について一定の成果をあげることができた。また、当初目指したないようではないものの、樹種による土壌有機物組成とCO2放出ポテンシャルの差異を明らかにできたことも成果と言える。
|
| Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、最終年度にあたる。この2年間の成果を国際誌に投稿するために論文化する。また、土壌有機物とCO2放出ポテンシャルについて、面分布・深度分布からなる3次元分布マッピングを試みる。これらの成果は従来の研究では報告されておらず極めてオリジナリティーが高い。共同研究者とともに産学連携や国際共同研究などを通した社会貢献の可能性も探る予定である。
|
Research Products
(1 results)
