2017 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of three dimensional hydrologic model based on observations on land surface and in atmosphere
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16H04999
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
高瀬 恵次 石川県立大学, 生物資源環境学部, 特任教授 (90133165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古本 淳一 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (10402934)
戎 信宏 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (60176782)
石田 祐宣 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (60292140)
中北 英一 京都大学, 防災研究所, 教授 (70183506)
矢吹 正教 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (80390590)
佐藤 嘉展 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (90414036)
山口 弘誠 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90551383)
萬 和明 京都大学, 工学研究科, 助教 (90554212)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 流域水循環 / 蒸発散 / 小型AUV / 樹幹遮断 / 水循環モデル / ラマンライダー / xバンドレーダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1)現地観測による森林流域内部の水循環把握 2)概念的水循環モデルの高度化と物理的三次元モデルの構築とその相互比較 3)大気リモートセンシングによる流域上空の降雨・水蒸気の時空間分布観測 を行い、これらの研究成果を横断的・総合的に整理・検討して、流域とその上空大気との水循環メカニズムを明らかにすることにある。 平成29年度は、1-1)流域内での降雨・流出データおよび林内雨量の観測を継続して、降雨~流出メカニズムの詳細について解析を進めた。降雨・流出データに基づく水収支解析から、滋賀サイトの広葉樹流域では年蒸発散量がおよそ500~600mm/yr、年蒸発散比は0.55~0.66で愛媛サイトの人工林針葉樹流域よりやや小さいこと、また、季別には春から夏にかけて蒸発散が抑制される傾向にあることがわかった。1-2)林内における滴下雨量・樹幹流の観測および小型UAV(ドローン)による上空からの撮影を行い、樹冠遮断のメカニズムや樹冠・樹形形状の解析を進めた。そして、広葉樹流域観測プロットの着葉期・落葉期のうっ閉率などを明らかにした。1-3)葉面積指数や蒸散活動の指標となるGCC値(画像中の緑色デジタルナンバーの割合)の季節変化・経年変化の解析を行った。2)概念的水循環モデルでは、下層土壌から表層への土壌水分移動(上昇)を考慮したサブモデルを導入し、三次元モデルでは昨年度開発したモデルをより広域に展開するための計算アルゴリズムを確立した。さらに、大気における諸観測分野では、3-1)簡易型走査システムの開発など水蒸気ラマンライダーの計測環境の整備や高分解能ドップラー・ライダーの開発を行い、観測タワー上空の風および水蒸気を測定するシステムを構築した。また3-2)xバンドレーダおよびFURUNOレーダによる降雨の空間分布情報を提供する手順を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
降雨・流出観測については、昨年秋の豪雨により観測堰・雨量計が損壊し、かなりの期間データの欠測が続いたが、文科省の災害復旧支援を受けて今年度3月から計測を再開した。また、気象計器のうち既存風速計の劣化が進んだため、本研究費によって更新したことによって、研究に必要なデータの収集は順調に進んでいる。一方、既設の各試験流域(愛媛、滋賀、秋田)については本研究の開始前からかなり長期にわたって観測が行われデータが蓄積したことから一部の試験流域で観測を終了した。解析については、水収支解析による蒸発散量推定、水循環モデルの改良は進んでいるが、陸面過程モデルをベースとした地上での水移動モデルとの相互比較や地上域における水移動の詳細解析には至っていない。また、樹冠遮断メカニズムの解析ではドローン等による森林の空間特性把握はかなりの成果を得ているが、広葉樹の樹形構造は複雑なため解明には至っていない。一方、各種レーダを用いた上空大気における降雨および水蒸気の空間構造解析のためのシステム開発は順調に進んでおり、現地への適用が期待されている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究推進の主要課題は、1)地上への降雨入力を左右する樹冠構造のモデル化、2)分布定数型および集中定数型水循環モデルの相互比較とモデルパラメータの物理的解釈(地上域における水循環移動モデルの構築)、3)上空大気における降雨・水蒸気の空間分布と地上での水移動特性の関連性の検討(3次元水循環モデルの構築)である。 1)については佐藤・戎(愛媛大)が中心となって広葉樹における林内雨量の計測を進め樹冠遮断モデルを完成する。2)は萬(京都大)が分布型モデル、高瀬(石川県立大)が集中型モデル、石田(弘前大)が蒸発散モデルの完成し、相互比較を行い、3)は中北・山口(京大防災研)が降雨、古本・矢吹(京大生存圏)が大気の風・水蒸気の計測システムを開発し、対象流域上空での情報解析を進める。そして、個々の成果を学術誌・学会等で公表するとともに、合同検討会および相互議論を通して本研究の目的を達成する。
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Research Products
(6 results)