2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H05119
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 康志 東京大学, 理学系研究科, 教授 (50272430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 暁 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 教授 (10365447)
池田 一穂 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 上級研究員 (20642565)
丹羽 伸介 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (30714985)
神原 丈敏 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (40451637)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | キネシン / 分子モーター / 軸索輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、キネシン頭部の運動活性の in vitro 計測とマウス培養神経細胞および線虫 C. elegans を用いた in vivo 計測を組み合わせることで、「1つの細胞内に多種類のキネシンが発現する必要があるのは何故か?」という問いにアプローチする。 昨年度まで、kinesin-1とkinesin-3をモデル分子とした proof-of-principle 実験を行ってきた。また、キネシンの in vivo での運動特性を定量的に計測・解析するための方法論として、非平衡統計物理学の揺らぎの定理を用いた計測法を開発し、その神経細胞への応用を進めてきた。 その結果、kinesin-1とkinesin-3のキメラ分子について、in vitroおよび培養細胞においては、分子モーターとしての単体の運動活性およびカーゴとの結合・解離・輸送については、それぞれ頭部モータードメインおよび尾部ドメインの性質を反映した予想通りの挙動を示すことが確認された。しかし、線虫個体レベルでは致死となり、キメラ分子は、線虫個体レベルでは機能しないことが示された。この結果は、本研究計画の作業仮説である「頭部モータードメインと尾部ドメインが共進化している」を強く支持するものである。 また、頭部モータードメインの運動活性の違いが細胞あるいは個体レベルで持つ意味をより詳細に検討するために、同じkinesin-1の中で、進化的に離れた異種動物の間でのアミノ酸配列比較と、それに基づく点変異導入を系統的に行い、運動の力学特性の異なるkinesin-1を検索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに、最初の成果として、kinesin-1とkinesin-3のキメラ分子について、線虫個体レベルでの機能解析を実施し、in vitroあるいは培養細胞内での評価結果に加えて、個体レベルでの表現型も得られた。当初の予想以上に激しい表現型であり、頭部ドメインと尾部ドメインの間の協調的な機能調節が重要であるという本研究計画の作業仮説が示された。さらに、この結果を追求することで、キネシンの細胞内での機能調節における新しい視座が得られると期待される。また、頭部モータードメインの運動特性の違いが細胞・個体レベルに及ぼす生理的意義についての検討をより詳細に行うための材料として、運動の力学特性の異なるkinesin-1を検索・同定することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
所期の目的通りの結果が得られつつある。また、更に発展させるための新しい材料の検索にも成功した。2018年度は、既に得られた結果を発展させつつ、新しい材料を用いた研究を並行して推進する。
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Research Products
(5 results)
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[Book] 脳神経化学2018
Author(s)
森 泰生、尾藤 晴彦
Total Pages
368
Publisher
化学同人
ISBN
ISBN 9784759817263