2016 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疾患におけるホープの臨床疫学的縦断研究と在宅医療への応用
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16H05216
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
柴垣 有吾 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (70361491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 宜明 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80736976)
脇田 貴文 関西大学, 社会学部, 准教授 (60456861)
福原 俊一 京都大学, 医学研究科, 教授 (30238505)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 医療行動学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、通院現場で利用可能で有用な慢性疾患のホープ尺度の評価を行うために、調査を実施した。 研究1.ホープや患者の行動・臨床指標の測定 慢性疾患のモデル疾患として、慢性腎臓病患者を選んだ。保存期慢性腎臓病、血液透析患者、腹膜透析患者に対して、ホープ尺度と健康関連QOLの尺度(KDQOL など)の質問紙票調査を行っている。さらに、患者の行動や臨床指標を反映する指標を抽出し、聖マリアンナ医科大学病院、稲城市立病院、日本赤十字医療センター、 JCHO 二本松病院、白河厚生総合病院においてデータ収集を行った。年度末時点で、有効なアンケート339名分のデータを得た。 研究2.ホープの妥当性の評価 健康関連QOLの指標として、水分制限の負担、食事制限の負担を設定した。これらの項目に対して、ホープとの関係性を分析した。年齢・性別・原疾患・併存疾患・病期・社会背景因子などで補正しても、ホープのスコアが高いほど、負担感が増える共通オッズ比が有意に低かった(それぞれ、0.43および0.47)。したがってホープが高いほど、療養生活における制限の負担が軽くなる可能性があることが明らかとなった。 治療遵守の指標として、収縮期血圧、拡張期血圧を設定した。これらの項目に対して、ホープの関係を分析した。年齢・性別・原疾患・併存疾患・病期・社会背景因子・治療薬などで補正した上でも、ホープのスコアが高いほど、収縮期血圧が有意に低かった(5 mmHg)。現在のサンプルサイズでは、ホープが拡張期血圧に関係性があるとは言えなかった。これより、ホープが高い程、治療遵守の指標が良好である可能性が示唆された。他の指標に関する分析は、さらなるデータの収集を行った上で分析する必要があると判断し、収集を継続することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フィールド(質問票)調査で協力していただく予定の研究協力者数名が、本人の都合で急遽本調査に参加できなくなった。 このため、研究協力者の確保が必要となり、調査開始前の講習も必要とした。加えて、1部のフィールドで調査協力者が集まりにくく、医療情報の取得・データクリーニングに予想以上に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のフィールドで本調査を継続し、ホープや行動・臨床指標のベースライン時点の測定は完了する予定である。その上で、 ホープと健康関連QOL の分析、ホープと治療遵守の指標、日常生活障害度の指標等との関係性の本解析を行いたい。
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