2018 Fiscal Year Annual Research Report
がん患者の生命予後・QOL向上に寄与する生活習慣要因解明のための患者コホート研究
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16H05240
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
南 優子 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (60239316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 穣 東北大学, 大学病院, 講師 (60710788)
金村 政輝 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん疫学・予防研究部, 部長 (80418615)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | がん / コホート研究 / 予後 / 生活習慣 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の診断・治療技術の進歩とともに、がん治療後の生存者(有病者)は増加している。しかし、これら有病者の長期予後及び予後規定要因に関する知見は少ない。本研究の目的は、宮城県立がんセンター大規模患者コホートのデータを基に、がん患者の死亡リスクを低減させる要因・生活の質(QOL)を向上させる要因を明らかにすることである。平成30年度は、以下の1~3を実施した。 1.研究初年度に作成した患者コホートのデータを更新した。具体的には、従来の1997-2010年罹患者コホートデータに2011-2013年罹患分を追加し、生死の予後観察期間を2016年12月31日まで延長した。また、診療録を基に結腸がんの詳細部位(上行・横行・下行・S状)と術式(開腹・体腔鏡等)を確認し、コホートデータに追加した。これら一連のデータ更新作業によって、1997-2013年罹患の全部位16403例を2016年12月31日まで追跡した患者コホートデータが完成し、生活習慣と予後との関連の解析環境が整った。 2.更新データを主要部位別(胃・肺・結腸・直腸・乳房・前立腺)に編集し、(1)妊娠出産歴と乳がんの予後との関連、(2)飲酒と乳がんの予後との関連、(3)大豆製品摂取と胃がんの予後との関連を解析した。このうち、「妊娠出産歴と乳がんの予後との関連」は結果を論文にまとめ、投稿中である。 3.いくつかの部位について、探索的な解析を実施した。具体的には、結腸がん・直腸がんについて、喫煙・飲酒・肥満度・がん家族歴と予後との関連を詳細部位別に解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施場所である宮城県立がんセンターのがん疫学・予防研究部が「宮城県がん登録管理事業」の実務に関与することになったため、同部が主体となるQOL質問紙調査の実施・継続が困難な状況となった。QOL質問紙は既に作成済みであるが、実際のデータ収集は滞っており、「がん患者のQOLを向上させる要因に関する研究」部分の遂行が遅れている。「死亡リスクを低減させる要因に関する研究」は、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
患者コホートのデータ更新によって、生活習慣データの信頼度が高まった。QOLに関するデータ収集・解析は遅れているが、今後は、生活習慣に関する要因(食生活・肥満度等)に焦点を当て、死亡リスクの解析を進めていく。解析結果を論文にまとめ、できるだけ早く社会に還元したいと考えている
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