2016 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌のゲノム多様性に基づく播種・転移・薬剤耐性・免疫逃避機序の解明と臨床応用
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16H05477
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
万代 昌紀 近畿大学, 医学部, 教授 (80283597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 和人 近畿大学, 医学部, 教授 (10208134)
中井 英勝 近畿大学, 医学部, 講師 (20441082)
宮澤 正顯 近畿大学, 医学部, 教授 (60167757)
鈴木 彩子 近畿大学, 医学部, 講師 (90378696)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / ゲノム多様性 / 免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣癌におけるゲノム多様性の評価方法として、腫瘍組織におけるクローン性に着目し、クローン数の解析を行うことから着手した。本学倫理委員会の承認を得た上で、過去に採取した卵巣癌検体24例のパラフィン包埋切片よりDNAを抽出し、全ゲノム領域におけるSNP based arrayを行った。また、癌と関連する主要な50遺伝子変異解析を次世代シークエンサーを用いて行った。これらのデータを専用ソフトにより全ゲノム領域のコピー数異常を網羅的に解析するとともに、専用プログラムによりクローン数解析を行った。結果として、がん遺伝子の変異を有する卵巣癌ではクローン数が少なく、がん遺伝子の変異を持たない卵巣癌ではクローン数が多いことが示唆された。すなわち、がん遺伝子などのドライバー変異を持たない腫瘍クローンはパッセンジャー変異が多く、腫瘍の体細胞遺伝子変異が多い可能性が見いだされた。海外の報告で、抗PD-1抗体の効果はその腫瘍における遺伝子変異の数が多い程効果があるとされ、免疫療法におけるバイオマーカーとして注目されている。今回の結果は、クローン数が多い腫瘍はパッセンジャー変異が多く、すなわち腫瘍の体細胞遺伝子変異が多く免疫療法が奏功する可能性があることを示唆するものであった。また、卵巣癌における標準的な化学療法であるパクリタキセル・カルボプラチン療法の奏功に関して、マイクロアレイによる遺伝子発現プロファイルを用いたバイオマーカー探索を試み、スコア化することで効果を予測することが可能であることが示唆された。これらの結果を組み合わせることで、ゲノムバイオマーカーによる卵巣癌の個別化治療が可能となると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画においては、初年度の計画として卵巣癌におけるゲノム多様性の評価方法および転移・再発、薬剤耐性や腫瘍免疫との関連性を明らかにすることを目標とした。ゲノム多様性の評価方法の確立、ならびに薬剤選択のバイオマーカーとしての可能性を探索できたため、概ね当初の計画通りに進行していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノム多様性が免疫療法のバイオマーカーとなり得るのか、実際に抗PD-1抗体を用いた治療を行った症例の検体を用いてゲノム多様性の検討を行う。また、ゲノム多様性と免疫関連の遺伝子発現についての検討を併行して行い、免疫療法の効果との相関について検討を行う。さらに、これらの結果に基づいたゲノム多様性と腫瘍免疫との関連性について癌細胞株を用いて解析を行う。
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Research Products
(1 results)