2016 Fiscal Year Annual Research Report
象牙質におけるコラーゲン糖化反応の解明と次世代歯科治療法への応用
Project/Area Number |
16H05517
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 治郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (70437383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北條 裕信 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (00209214)
橋本 守 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (70237949)
久保 美寿穂 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (60757813)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 象牙質 / 糖化 / コラーゲン / 老化 / 蛍光寿命 / う蝕 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度にて、免疫組織化学的手法および分析化学的手法であるwestern blotting法やHPLCの手法が確立され象牙質や他組織、血液中のAGEsの測定が可能となった。現在は、質量分析を行える条件設定を詰めており条件などが絞り込まれつつある。今後は、象牙質の糖化に関与している種類の象牙質内での局在や物質の定量分析、AGEsの分離および抽出を行い、詳細な象牙質コラーゲンにおける最終的な糖化メカニズムの解明を行う。 AGEsの測定に関しては、象牙質コラーゲンに対する蛍光減衰波形を解析が完了し、象牙質における蛍光寿命の測定が可能となった。インパルス励起で得られる蛍光寿命(時定数に相当)は、コラーゲン線維と蛍光性架橋の比率に依存するため、糖化度とコラーゲンの相関をとり組織情報のより高精度な測定が可能となるように実験を進めていく。 齲蝕罹患象牙質の検出において、糖化現象を定量的に蛍光寿命測定が行う手法を確立され、色や部位と行った周囲環境に影響にくい蛍光寿命を指標とした齲蝕の検出を行うことが可能となった。ただ、装置の形状が診療に用いるには不向きなため(顕微鏡型)ファイバースコープなどを応用したより実用的な仕組みを構築することで、う蝕診断の客観的な指標策定が行えるのではないかと考えている。 生体における糖化現象の医療応用としては、基質の糖化修飾による歯髄細胞の石灰化誘導を効果的に行える条件を検索することを現在進めており、石灰化誘導及び継代における条件などはクリアされつつある。今後は、これまでの研究をまとめて次のステップに繋げていくため糖化現象を用いて象牙質の修復象牙質の形成をコントロールする手法を確立し、「糖化コラーゲンを用いた歯髄細胞の石灰化誘導」という全く新しい概念を歯科治療法へ応用する筋道を策定していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目にうつる際に当初の予定を組み替え、細胞組織の採取培養の予定を繰り下げて蛍光検出の青銅向上を前倒しにした。これは、評価方法が確立されてから培養系研究を行った方が効率がいいと判断したためで、結果として培養関係の実験も順調に進んでおり現在、研究の進捗に遅れは見られない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究予定の最終年度では糖化関連実験の集大成として、歯髄内での石灰化を用いた動物実験および培養細胞による再現試験を主体として研究を進めていく。さらに、これまで蓄積した糖化関連研究を次の臨床応用のステップに繋げていくため、糖化現象を用いて象牙質の修復象牙質の形成をコントロールする手法を確立し、「糖化コラーゲンを用いた歯髄細胞の石灰化誘導」という全く新しい概念を歯科治療法へ応用する筋道を策定していく予定である。
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