2017 Fiscal Year Annual Research Report
口腔機能の向上が栄養改善を介して高齢者の認知・運動機能を維持・向上する過程の検証
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16H05523
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 芳信 大阪大学, 歯学研究科, 特任教授 (10144510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池邉 一典 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (70273696)
権藤 恭之 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (40250196)
神出 計 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80393239)
大久保 公美 国立保健医療科学院, 生涯健康研究部, 主任研究官 (80407577)
権田 知也 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (30324792)
増井 幸恵 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (10415507)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歯学 / 咬合力 / 栄養 / 縦断研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者において,口腔内の状態と栄養状態との間に関連がみられることが,これまで数多く報告されている。我々も,横断研究により咬合力と一部の食品摂取量との間に関連がみられることを報告している。そこで今回は,80歳の地域高齢者を対象とした縦断研究において,咬合力と,3年後の低栄養との関連について検討を行った。 対象者は80歳の高齢者167名とした。咬合力はデンタルプレスケール(ジーシー社)を用いて測定した。BMIが18.5未満,上腕周囲長が21cm未満,下腿周囲長が31cm未満のいずれかを満たす人を低栄養と定義した。ベースライン時に低栄養と定義された人は分析から除外した。ベースライン時に低栄養でなかったが,フォローアップ時に低栄養であった人を栄養低下群,低栄養でなかった人を維持群とした。咬合力と栄養状態との関連を検討するために,Mann-WhitneyのU検定を行った。さらに,栄養状態を従属変数とし,性別,咬合力,歯数,教育歴,経済状況を独立変数としたロジスティック回帰分析を行った。統計学的有意水準は5%とした。 18人の被験者が栄養低下群と定義された(10.8%)。2変量解析の結果,栄養低下群の方がベースライン時の咬合力が低かった(p=0.04)。ロジスティック回帰分析の結果,ベースライン時の咬合力が,3年後の栄養低下と有意な関連をみとめた(オッズ比=0.69,p=0.03)。歯数と栄養低下との間に有意な関係はみられなかった。 過去の研究より,食品選択は口腔状態に影響を受けると報告されている。以上のことから,80歳の日本人高齢者において,咬合力が低い人は,将来的に低栄養に陥りやすいことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十分な参加者数が得られ,栄養状態と口腔機能のデータ収集,整理,栄養学の専門家と共同で行う分析も順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は90~96歳のデータの収集の予定である.高齢であるので,会場調査に参加できない方には,訪問調査も適宜組み入れ,追跡調査者数の確保に努める.
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