2016 Fiscal Year Annual Research Report
バイオフィルム感染症におけるABCトランスポーターの役割の探索と齲蝕予防への応用
Project/Area Number |
16H05550
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
仲野 道代 (松本道代) 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30359848)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高島 由紀子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (30589768)
平野 慶子 岡山大学, 大学病院, 助教 (50335618)
稲葉 裕明 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (70359850)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 齲蝕 / 歯周病 / バイオフィルム / トランスポーター / Streptococcus mutans |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科の二大疾患である齲蝕と歯周病は、口腔におけるバイオフィルム感染症であり、それぞれに対する起炎菌が知られている。バイオフィルムを形成する菌は薬剤耐性能が高いため、薬剤によるバイオフィルムの破壊は困難である。薬剤耐性には必要な栄養素を取り込み不要な物質を排出する役割を持つ膜トランスポーターが関与しているが、その詳細は不明である点が多い。本研究の目的は、齲蝕および歯周病の主要な起炎菌における膜トランスポーターの機能解析を行うことで、バイオフィルム形成への関与を明らかにすることである。はじめに、Streptococcus mutansの全ゲノム配列よりバイオフィルム形成に関連するABCトランスポーターと推定される遺伝子のスクリーニングを行った。そこでグルタミン ABC 輸送体 (GlnP) をコードしていると推定される遺伝子 SMu0732 を抽出し,変異株を作製し機能解析を行った。GlnP欠失変異株を作製した後、グルタミン存在下で菌を培養したところ、GlnP欠失変異株は親株と比較してグルタミンの影響が認められなかった。また、これらの菌株を用いて蛍光プローブによる細胞膜輸送の解析を行ったところ、蛍光プローブの濃度依存的にGlnP欠失変異株の蛍光偏光度は有意に低下した。このことから,輸送系においてGlnP がグルタミンの取り込みに関与している可能性が高いことが示唆された。また、SMu0732は、その上流に存在するSMu0731とオペロンを形成しており、その発現については、SMu0731が調節遺伝子として機能していることが示された。また、このオペロンの発現は、グルタミンの存在により増加することが明らかとなり、バイオフィルム形成中における菌のイオン動態に深く関与していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでにStreptococus mutansにおけるABCトランスポーターの遺伝子スクリーニングは完了し、抽出された変異株の作製および分析についても概ね順調である。さらに歯周病菌の変異株の作製も進んでおり、変異株の作製が終わり次第分析を勧める予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
すでに変異株の作製および分析については、順調に進んであり、今後はさらにS. mutansについては、他のABCトランスポーターの変異株の作製を行い分析を行う予定である。また、バイオフィルム形成における他のグラム陽性細菌との関連についても検討を行う予定である。P. gingivalisについては、さらにABCトランスポーターのスクリーニングを行う、抽出された変異株の作製を行う予定である。
|
Research Products
(5 results)