2016 Fiscal Year Annual Research Report
Wnt・象牙質基質蛋白を軸としたセメント質形成制御理論の確立と歯周再生法への展開
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16H05553
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
根本 英二 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (40292221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹野 泰之 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30196191)
中村 卓史 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (90585324)
山越 康雄 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20182470)
金谷 聡介 東北大学, 歯学研究科, 助教 (80375097)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Wntシグナル / 歯小嚢細胞 / 歯根膜細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス不死化歯小嚢細胞は,NIDCRのSomerman M.博士よりに分与を受けた。さらにヒト初代培養歯根膜由来幹細胞に関しては、患者より抜去された智歯歯根膜組織から酵素処理後、抗STRO-1抗体を用いたマグネチックビーズ法によりSTRO-1陽性細胞を回収した。今後の実験に備えて5~7ドナーからヒト初代培養歯根膜由来幹細胞を回収し,保存した。Wntシグナルを活性化する手段として,市販リコンビナントWnt3a,Wnt3aを恒常的に発現するL細胞(LWnt-3A cell, ATCCより入手)の培養上清,さらにはglycogen synthase kinase-3β (GSK3β)活性を抑制することによりWntシグナルを模倣することが知られている、GSK3β阻害剤塩化リチウムを用いて実験を行った。また,DSPは分担研究者である山越博士よりブタ象牙質由来精製標品の分与を受け,実験に用いた。Wnt3aシグナルでプライミングされたマウス歯小嚢細胞およびヒト初代培養歯根膜由来幹細胞はDSPで刺激することにより細胞分化マーカーであるオステオカルシン遺伝子に発現誘導が増強されることをリアルタイムPCR法によって明らかにした。さらに,セメント質および骨関連分化マーカー群の遺伝子発現を解析したところ,アルカリホスファターゼの発現には有意な変化を与えなかったが, アリザリンレッド染色法による石灰化ノジュール形成においてはその誘導が増強される傾向にあることが明らかとなった。生体内環境により近づける目的としてヒト象牙質片上での細胞培養を用いて同様の実験を行ったところ,プラスチック培養プレートを用いた培養法で得られた結果と同様の傾向があることを確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画であるWntシグナルと象牙質シアロタンパク刺激によるセメント芽細胞分化誘導の最適条件の検討に関して,上記の条件において各硬組織分化マーカーの発現パターンが明らかとなったことから,その解析を次年度以降の継続課題とすることができる。さらに,生体内環境により近づける目的としてヒト象牙質片上での細胞培養を用いて同様の実験においても,プラスチック培養プレートを用いた培養法で得られた結果と同様の傾向があることを確認することができた。これらの反応を基盤とすることで,次年度以降に予定しているレコンビナント象牙質シアロタンパクの発現実験にスムーズにつなげることができることから,現在までの研究の達成度は概ね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究成果,すなわちWntシグナルと象牙質シアロタンパク刺激によるセメント芽細胞の分化誘導という反応系に対して,レコンビナント象牙質シアロタンパクの発現プラスミドを作成して,その発現細胞を用いて解析を行い,機能ドメインを含むペプチドを同定することが今後の研究の目標となる。近年、主にC末端領域DSPが石灰化象牙質に発現しているとの報告があることからC末端領域を慎重に解析する。
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Research Products
(9 results)