2017 Fiscal Year Annual Research Report
可視化デバイスを用いたエビデンスに基づく輸液管理プログラムの開発と評価
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16H05561
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村山 陵子 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (10279854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 優子 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (00613712)
真田 弘美 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50143920)
小見山 智恵子 東京大学, 医学部附属病院, 看護部長 (60581634)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 末梢静脈カテーテル留置 / 輸液看護 / 輸液療法 / 看護技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
輸液管理プログラムに活用する可視化デバイスの選定、それを用いたプログラムの開発を目標とし、「点滴トラブルを予防する末梢静脈留置技術の開発」に取り組んだ。超音波検査装置(US)の活用を前提に、①静脈を含む皮下組織の観察を、看護師がベッドサイドで行えるデバイスの選定、②点滴トラブルの予防要件を取り入れた末梢静脈カテーテル(PICV)留置時の介入研究を実施した。 ①では従来のラップトップ型よりも持ち運びが容易なタブレット型USの妥当性を検証した。血管径と深さ、PIVC先端位置判別の基準関連妥当性:rはいずれも高い値を示し、ラップトップ型USを基準とした、タブレット型USの妥当性が示された。②ではPIVCによる血管への機械的刺激の低減が、点滴トラブル予防に効果的と考えられたため、USを用いた適切な血管選択、適切な位置へのPIVC留置確認、ポリウレタン素材のPIVC使用を含むケア介入による非ランダム化比較対照試験を実施した。介入群183本、対照群233本の PIVCを分析したところ、点滴トラブル発生率は対照群68本 (29.2%)、介入群21本 (11.1%) であった。統計学的調整後(傾向スコア)も有意に発生率に差があり (p<0.01)、相対リスク減少は60.1%、生存時間分析でも有意差を認めた(p<0.01)。研究①②より、タブレット型USを用いた血管への機械的刺激の軽減により、点滴トラブル発生率の大きな減少が実証された。 またPIVC留置部位周囲の皮膚温観察方法として、③がん化学療法時の血管外漏出早期発見を目指した、液晶サーモフィルムのユーザビリティ評価を、外来化学療法室看護師8名、患者42名に質問紙にて実施した。粘着性がやや強いこと以外にマイナス評価はなく、投与血管の走行が確認可能なことへの安心感が得られ、今後開発するプログラムのツールとして取り入れ可能と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床における介入研究の計画立案、評価方法の検討に十分に時間をかける必要があったが、実際に臨床で実行可能な介入研究を開始できた。結果的に、事故なく安全に実施でき、しかも点滴トラブルの低減を実証できたことで、次年度のプログラム完成と看護師がそのプログラムを臨床で実施し、評価を開始する段階に入ることができる。液晶サーモフィルムについては、実施が難しい化学療法室でのユーザビリティー調査が可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
介入研究結果を基にプログラム案を完成させ、「研究 C. 可視化デバイスを用いた輸液管理プログラムの検証」を行う。具体的には臨床で看護師が誰でも取り入れられるような、超音波検査装置を用いた末梢血管カテーテル留置アルゴリズムに基づく教育プログラムを作成し、検証することを目標とする。また、「研究 D. 開発した輸液管理プログラムの臨床応用へ向けた再構築・再検証」としては、特に液晶サーモフィルムを活かした抗がん剤投与における輸液管理への応用アルゴリズム作成を目標とする。血管外漏出の発症は非常に少ないため、早期発見についてのフィージビリティー研究の計画を十分に再考しながら実施する必要がある。
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Research Products
(10 results)