2018 Fiscal Year Annual Research Report
Ecological and chemical surveys of endangered wildlife species endemic to the Caribbean region
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16H05655
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北 将樹 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30335012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝田 浩二 宮城教育大学, 教員キャリア研究機構, 准教授 (00333914)
大舘 智志 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60292041)
ラザロ エチェニケディアズ 宮城教育大学, 教員キャリア研究機構, 研究員 (60567650)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生態化学 / 野生動物 / 薬用植物 / カリブ海 / 有毒哺乳類 |
Outline of Annual Research Achievements |
カリブ海の亜熱帯・熱帯地域の島国は生物多様性が高く、未知の生物活性物質の発見が期待される。本研究では、キューバおよびドミニカ共和国において、世界で2種しかいない絶滅危惧種の有毒哺乳類ソレノドンや、民間伝承の薬用植物などカリブ海の固有・希少な野生生物に関する生態化学的調査を実施し、有効成分の化学分析と生態学、進化系統解析を組み合わせることで、生物進化と生物多様性の謎に迫ることをめざした。 1)キューバソレノドンの生態化学的調査:2019年3月(20日間)に、日本から3名(本課題の研究分担者2名を含む)がキューバ共和国を訪問し、シエラ・デル・ロザリオ自然保護区(ラ・パルマ市近郊)およびピコ・クリスタル国立公園(サンティアゴ・デ・キューバ市)において生態調査を行った。無人カメラによる調査、トラップ調査、痕跡調査などを検討した結果、後者の国立公園でキューバソレノドンの生存を示す痕跡を確認した。 2)ハイチソレノドンの生態化学的調査:2019年2月(8日間)に日本から1名(本課題の研究分担者)および米国から1名がドミニカ共和国を訪問し、ロス・アイティセス国立公園にてハイチソレノドンの生息調査を行った。また国立自然史博物館の教授(館長)らと今後の生態化学的調査について詳しく議論し、調査への全面的な協力を得る手はずを整えた。 3)固有種の薬用植物の採取とエキス調製、生物活性評価:キューバ固有種(ノウゼンカズラ科)から抗炎症性を示す物質を発見し、化学合成によりその構造と活性を明らかにした。本化合物は既知物質で、抗腫瘍活性や抗菌活性、抗酸化作用など様々な活性が報告されているが、抗炎症活性は今回初めて明らかになった。今後は本化合物の構造活性相関と作用機序解析を進めて、抗炎症リード化合物の創出を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ドミニカ共和国におけるフィールド調査を実施し、現地の協力者と強い連携を築くことができた。またキューバソレノドンの捕獲には至らなかったが、生存の痕跡が確認できる重要な調査地点を特定できた。当初の調書に記載した現地調査がほぼ計画通り実施できており、順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度が最終年度にあたるため、研究の取りまとめを行う。これまでの調査実績に基づき、キューバ共和国フンボルト国立公園、ピコ・クリスタル国立公園、およびドミニカ共和国ロス・アイティセス国立公園などにて野生生物の生態化学的調査を2~3月頃に行う。ソレノドンについて生け捕りを目指し、唾液および遺伝子サンプルの採取を目指す。また糞分析や餌となる小動物のモニタリング調査などにより、ソレノドン類の食性や食物連鎖による毒の移行性について可能性を追求する。さらに、これまでに採取したカリブ海固有種の植物抽出エキスについて、抗腫瘍活性やイオンチャネルへの作用活性など新しい生物活性スクリーニングを検討し、新規有用物質の発見を目指す。
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Research Products
(24 results)