2017 Fiscal Year Annual Research Report
International Comparison Study on Natural Disaster Victims Relief Regime / Post-Disaster Recovery and Culture – by Gender Perspective
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16H05666
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山地 久美子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 客員研究員 (20441420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田間 泰子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (00222125)
山崎 栄一 関西大学, 社会安全学部, 教授 (00352360)
伊田 久美子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (20326242)
北後 明彦 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (30304124)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 被災者支援レジーム / 復興まちづくり / 国際比較(韓国・台湾・米国・イタリア・NZ) / ジェンダー / 社会保障 / 復興/防災 / 阪神・淡路大震災/東日本大震災/熊本地震 / 災害語り部 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本・韓国・台湾・米国・イタリアの被災現地において調査研究を実施し、国際比較の視点から①被災時から復興時にかけた災害特有の課題、②復興時から平時へとソフトランディングしていくプロセスと恒常的な課題について学際的な視点、長期的なアプローチから明らかにし、政策提案を行うことを目的としている。 2017年度は日本、韓国、台湾、米国の災害調査とイタリアのジェンダー課題について調査研究を進めた。阪神・淡路大震災では旧北淡町(現淡路市)・神戸地区において調査を行い、研究者・被災経験者と東日本大震災・熊本地震被災地においてワークショップ、シンポジウム等を共同で開催した。東日本大震では宮城県・岩手県被災地にて調査、復興カフェを開催した。熊本地震では熊本県熊本市・益城町・御船町を中心に調査を進め防災・減災の視点で語り部育成に向けた災害語り部ワークショップを益城町で開催した。避難所は女性に特化した避難所が設営された平成29年九州北部豪雨被災地の朝倉市と福祉的観点から益城町の指定外避難所の調査を進めた。 災害時の情報提供とコミュニティ形成の観点からメディア研究会を開催し、災害臨時FMの復興FMへの役割継承と運営・資金について調査を継続している。 国際比較研究は、韓国において日韓災害研究会を共同で開催し現地調査を実施した。台湾、米国は研究会を神戸で共催し、イタリアは近年のジェンダー動向を継続的に調査している。第2回東アジア日本研究者協議会学術大会では「震災復興におけるジェンダー課題と女性のエンパワーメント」と題し、東アジア地域全体で本課題について議論し、共同で開催する機会を得た。 1年間で研究会4回、共同開催の全国シンポジウム、ワークショップ、女性の復興カフェを開催し、研究者、被災地の方々との議論から、その知見を研究に取り入れた成果を学会報告、論文、新聞記事掲載等で発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①(1)復興まちづくりへの参画:東日本大震災では復興後のコミュニティ形成時期に移行しており、地域における女性の参画状況をインタビューや復興カフェで調査している、(2)復興・防災のジェンダー統計調査、(3)被災者支援と法律:臨時災害FMとコミュニティFMへの移行の法的整備、(4)社会保障・災害手当制度の確立:日本の住宅復興の特殊性を米国・台湾との制度比較から明らかにした、(5)経済復興:次年度に調査予定、(6)災害時の母子・父子支援:母子避難所調査の実施。防災ハンドブックモデルの更新、(7)外国人支援:外国人の災害後の住宅復興と平時の課題について検討 ②国際比較研究:日韓災害研究会を韓国で開催し、共同研究者と平昌郡カリ山で水害復興の継続調査、水原市まちづくり調査を実施した。台湾、米国は研究会を共同開催し日本の罹災証明と住宅復興支援の特殊性を明らかにした。 ③研究会等:研究会3回、メディア研究会、益城町被災地語り部ワークショップ、第3回全国被災地語り部シンポジウムin東北、女性の復興カフェ等を共催し研究者、被災地の方々との議論からその知見を研究に取り入れている。 ④社会への発信:国際会議、学会、講演での成果報告。文部科学省『平成28年度文部科学白書』、日本学術振興会『科研費2017』『KAKENHI Grants-in-Aid for Scientific Research2017』にて「災害復興・生活再建の国際比較研究」と題し当研究の学際的、国際的、長期的な研究内容と取組の重要性を発信、毎日新聞の特集記事「東日本大震災7年」2018年3月10日朝刊16面にインタビュー記事「語り部横断的な連携を」の掲載、サンテレビ「日曜夕刊3.11東日本大震災」においてインタビュー放映の機会を得た。 これらの研究活動により多くの知見を得ながら調査研究を進め、政策提案、成果の社会への発信に努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
①8つの研究テーマ (1)復興まちづくりへの参画:復興計画策定委員会、進行管理委員会、まちづくり協議会での女性、外国人の参画について時系列調査を進める、(2)復興・防災の政策決定過程における参画プロセス調査とジェンダーの主流化の状況について国際比較の観点から調査を進める、(3)被災者支援と法律(被災者支援レジーム、生活再建):地震・津波・水害・火山噴火など異なる災害の復興まちづくり国際比較研究を進める、(4)社会保障と災害支援の連続性・災害手当制度の確立:住宅復興支援と住民票(家族)と罹災証明に関して新たな制度設計を提案する、(5)経済復興:支援団体を中心に国際比較調査を実施する、(6)災害時の出産・母子支援、父子支援、医療制度:女性向けの避難所施設の有効性調査、および災害時対応ハンドブックモデル冊子の応用展開を検討する、(7)災害時外国人支援:災害時から平時対応への移行調査を進める、(8)原発事故災害に関する法律、支援制度:避難者の生活再建状況について調査する。 ②国際比較研究:韓国(水害・地震)、台湾(水害・地震)、米国(地震・津波・噴火・水害)、イタリア、ニュージーランドで研究を進め、現地調査の実施・共同研究会等を開催する。 ③研究会、ワークショップ、シンポジウムを開催する。海外の研究者らと国際的な研究集会を国内外にて開催する。 ④「事前復興ワークショップ」のプログラムを継続開発する。全国被災地語り部ネットワークの国際化、国際シンポジウム、ワークショップを開催する。 ⑤国際比較の観点で災害復興・減災への政策提案を行う。
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Research Products
(38 results)