2017 Fiscal Year Annual Research Report
EUの多次元的な福祉レジーム改革とシティズンシップの変容に関する研究
Project/Area Number |
16H05720
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中村 健吾 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (70254373)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福原 宏幸 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20202286)
平野 寛弥 目白大学, 人間学部, 准教授 (20438112)
嵯峨 嘉子 大阪府立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30340938)
土岐 智賀子 立命館大学, 教育開発推進機構, 嘱託講師 (30709291)
柳原 剛司 松山大学, 経済学部, 准教授 (40633251)
廣瀬 真理子 東海大学, 教養学部, 教授 (50289948)
亀山 俊朗 中京大学, 現代社会学部, 教授 (70507425)
松原 仁美 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 特別研究員 (70736347)
嶋内 健 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (70748590)
太田 美帆 静岡大学, 農学部, 助教 (70755355)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 多次元的な福祉レジーム / 越境的なシティズンシップ / 社会的排除・包摂 / アクティベーション / 移民・難民支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度には、研究代表者および研究分担者11名のうち8名が海外での調査に従事した。すなわち、福原宏幸はベルギーとフランスで、生活困窮者支援ならびに社会的連帯経済の現状についての調査に従事した。平野寛弥はイギリスで、保守党政権下での社会政策と社会的シティズンシップについて調査を実施した。嵯峨嘉子はドイツで、公的扶助制度の動向と生活困窮支援の実践に関するヒアリング調査を行なった。土岐智賀子はイタリアで、社会的協同組合の取り組み、ならびに大学における就労支援について、資料収集と調査を行なった。柳原剛司はハンガリーで、社会保障改革、難民政策、ハンガリーの対EU関係等について調査を行なった。松原仁美はフランスで、福祉改革および就労支援に関する調査を行なった。嶋内健はデンマークで、職業学校における若年公的扶助受給者へのアクティベーション政策に関する調査に取り組んだ。そして、太田美帆はスウェーデンで、EUの地域政策が地域におよぼす影響や移民受け入れの現状について調査を実施した。 また、亀山俊朗は札幌市で、日本におけるシティズンシップの範囲の検証するために、アイヌ民族博物館などでの資料閲覧・収集を実施した。 研究代表者および研究分担者を中心的な成員とするEU福祉レジーム・市民権研究会を、平成29年度には7月と11月の2回にわたって開催し、調査・研究成果の共有を図った。11月に開催した第2回の研究会は、福祉社会学会および社会政策学会(社会的排除/包摂部会)との共催により公開で実施され、研究成果の対外的な発信もなされた。 以上のような調査と平成28年度にすでに実施していた調査及び資料収集とをふまえて、平成29年度には、研究代表者および研究分担者が学会報告、著書および論文の公刊に活発に取り組んだ。そのことにより、研究を取りまとめる年度となる平成30年度に向けた、研究成果の整理が進展した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外調査が活発になされて知見の蓄積が進むとともに、学会報告と著書・論文の公刊により、研究成果の発信が進んだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には、EU加盟各国における社会的包摂政策および移民・難民政策に関する補足的な海外調査、研究の総括、ならびに研究成果の発信の準備が行なわれる。研究の総括としてはとくにシティズンシップ概念の組み換え(越境的なシティズンシップの理念の構想)に関する熟考と熟議がふくまれることになる。ポスト・ナショナルなシティズンシップの概念についてはこれまで、「デニズンシップ」(T. Hammer)、「多文化シティズンシップ」(W.Kymlicka)、「包摂的なシティズンシップ」(N. Kabeer)、civic citizenship(欧州委員会)など、実に多様な構想が提案されてきたとはいえ、研究者たちによる国際的な議論の着地点はいまだに見えていない。そのため、調査結果をふまえた理論的検討に時間を割く必要がある。最後に、各国の実態分析の結果を、社会的包摂・アクティベーション、移民・難民政策、社会的連帯経済、そしてシティズンシップという分析的観点から整理・再構成し、平成31年度における共著の出版を準備する。
|
Research Products
(21 results)