2017 Fiscal Year Annual Research Report
オーストラリアの乾燥環境勾配に沿った染色体数減数現象の解析
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16H05762
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 元己 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00193524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪口 翔太 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (50726809)
土松 隆志 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (60740107)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 染色体数進化 / ブラキコーム / 種分化 / オーストラリア / 乾燥適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度は、9月に南オーストラリア州、クイーンスランド州、ニューサウスウェールズ州にて、現地調査と試料の採集を行った。南オーストラリアでは、28年度にサンプリングができなかった分布域の北部および西部の半島部を中心に調査と試料の採集を行った。これらの試料は28年度に採取した試料とともにブラキコーム・リニアリローバ複合体の系統解析に使用した。29年度に採取したサンプルを加えた結果は、葉緑体DNA10,000bpによる系統樹、核DNAのITS領域による系統樹ともに28年度に得られた結果と矛盾することはなく、他殖型でn=2の染色体数を持つブラキコーム・ダイクロモゾーマティカが他の植物と基部で分かれて姉妹群となるものであった。 クイーンスランド州、ニューサウスウェールズ州では東海岸地域を中心にn=9の染色体数を持つ植物3種と、西部の乾燥地域を中心にn=3~6を持つ植物6種をサンプリングし、DNA解析用、RNAseq解析用のサンプルと種子を採取した。 28年度の採取したリニアリローバ複合体以外の同属植物の21種を加えた系統解析を行った。外群にはB. rigidulaを用いた。その結果、リニアリローバ複合体は系統樹の基部で分岐し、他の21種と姉妹群を形成した。この結果は、n=2のブラキコーム・ダイクロモゾーマティカを含むリニアリローバ複合体は、本属の成立の早い時期に分化した植物群から生じたものであり、他の同属植物とは近縁ではないことを意味する。しかし、まだ本年度に採取した他の種を加えていないので結論を出すには時期尚早であり、30年度での解析を待つ必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度はサンプルの種子発が順調にいかず、29年7月まで研究期間を延長したが、29年度の野外調査は9月であったために、計画にはほとんど影響はなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度は、これまで得られた種の系統解析を重点的に行うとともに、RNAseqによるゲノム解析を行う。野外調査は西オーストラリアを中心に行う予定である。
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