2017 Fiscal Year Annual Research Report
Research on diagnosis, treatment and epidemiology of membrane nephropathy in the Asia-Pacific region
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16H05839
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丸山 彰一 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯澤 由紀夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00191479)
井ノ上 逸朗 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 教授 (00192500)
猪阪 善隆 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00379166)
秋山 真一 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (20500010)
横山 仁 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50191531)
坪井 直毅 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (50566958)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 医療・福祉 / 臨床 / ネフローゼ症候群 / 膜性腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性膜性腎症(idiopathic membranous nephropathy, iMN)は成人発症ネフローゼの主要疾患である。iMNの原因抗原としてホスホリパーゼA2レセプター(PLA2R)の存在が明らかになっている。本研究では、アジア地域におけるMNの診療ガイドライン作成を目指すための基盤情報の整備と当該地域におけるMNの実態調査を行っている。 iMNの診断には、腎生検および腎病理診断が適正に実施されることが必要である。これまで日本に、アジア各国の腎臓専門医を招聘し情報交換を行った。また申請者らが海外に赴き、アジア各国の腎臓内科専門医との意見交換を行った。その結果、中国、台湾、韓国、インド、マレーシアの一部、インドネシアの都市部では腎生検の実施や病理診断の体制整備が急速に進んでいることが分かった。 欧米からの報告では、iMN患者の70~80%にPLA2R抗体が陽性であるが、本邦では50~60%と低値であることを再確認した。韓国、中国ではPLA2R抗体陽性率が80%程度と高いことが確認された。他の地域では、血中のPLA2R抗体を測定する事自体が困難であった。血液サンプルを日本に郵送することも手続き上困難があることが判明した。 そこで、現地でのPLA2R抗体測定体制の整備の支援を始めた。具体的には、分担研究者の秋山が開発したPLA2R抗体迅速診断チップを各国の腎臓内科専門医に紹介し普及を図った。本迅速診断チップは、特別な器具を使用せずチップ単体で測定可能で、使用方法も極めて簡単である。さらに抗体測定が困難な地域については、腎生検組織の染色にてPLA2Rの抗体の存在を明らかにするために、免疫組織染色の技術提供を行った。その際に、非特異的な染色と特異的な染色の鑑別が重要である点を強調した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アジア各国から血清を名古屋大学に郵送してもらいPLA2R抗体を測定することを検討していたが、それが困難であることが判明した。そのため、現地で測定する基盤整備を行うことに方針を変え、その準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
各国におけるMN患者に関する総合的な疫学調査を行うために、アジア各国における患者登録システムの構築を進める。その上で、各国の疫学データを持ち寄る形で、膜性腎症のアジア国際レジストリーの構築を進める。現在、米国を中心としたネフローゼレジストリー研究であるNEPTUNEとの共同研究も進めている。これにより、アジア太平洋地域のMNと欧米のMNを比較することが可能となることが期待される。 現地でのPLA2R抗体測定体制の整備と測定結果の情報収集に努める。本迅速診断チップは、特別な器具を使用せずチップ単体で測定可能で、使用方法も極めて簡単である。抗体測定が困難な地域については、腎生検組織の染色にてPLA2Rの抗体の存在を明らかにする。非特異的な染色と特異的な染色の鑑別には、一定の技術が必要であるが、染色法の標準化と普及に努める。
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