2018 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア諸国における肺炎球菌の疫学解析と新規病原性の探索
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16H05847
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川端 重忠 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (50273694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 雅也 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (00714536)
岡本 成史 金沢大学, 保健学系, 教授 (50311759)
住友 倫子 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (50423421)
中田 匡宣 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (90444497)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺炎球菌 / 口腔レンサ球菌 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺炎球菌 (Streptococcus pneumoniae) 感染症は乳幼児と高齢者の主な死因の一つである.また,インフルエンザウイルス感染後に続発する細菌感染症の主要原因菌である.高いコンピテンス能を有する本菌は近縁の口腔レンサ球菌からDNAを取り込み,薬剤耐性や病原性を獲得してきた.東南アジア諸国では肺炎球菌感染症による死亡率が小児で極めて高いにも関わらず,疫学情報は充分に整備されていない.本研究では,タイ,ミャンマー,ベトナムにおいて肺炎球菌ならびに口腔レンサ球菌を分離し,分子疫学的性状と病原性を解析した. タイにおいて,今年度は,昨年度から継続して,タイの研究協力者がMahidol University Dental Hospital において検体を収集した.また,タイの健康な成人の口腔から分離された口腔レンサ球菌207株について,ドラフトゲノムを解読するためにゲノムDNAの分離を進めている. また,ミャンマーにおいても,Department of Medical ResearchとYangon Children Hospitalの協力のもと,菌株の収集を継続している.252検体について,血液寒天培地上での溶血能測定やグラム染色,オプトヒン感受性試験などの生化学試験を行い,60株の肺炎球菌候補菌株を収集した.これらの菌株について,E-testを用いて抗菌薬感受性試験を行った.さらに,タイの菌株同様,ドラフトゲノムを解読するためにゲノムDNAの分離を進めている. ベトナムにおいては,菌株の収集を開始すべく,研究協力先であるNational Institute of Hygiene and Epidemiologyと協議を続けている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タイにおいて,継続的に口腔レンサ球菌を収集しているとともに,ドラフトゲノムを解読するために,得られた菌株のゲノムの分離に取り掛かっている. ミャンマーにおいては,昨年度から継続して菌株の収集を行っている.結果的に,252検体から60株の肺炎球菌候補菌株が得られた.また,得られた株について抗菌薬感受性試験を行った.さらに,タイの菌株同様,ゲノムDNAの分離を進めている.ミャンマーにおいては肺炎球菌の疫学情報が少なく,学術的に貴重なサンプルの収集が進んでいる. ベトナムにおいて,菌株を収集するための申請手続きを継続している. これらの結果から,総合的に,概ね順調に計画が進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
継続して菌株の収集を行う.菌種の同定と抗菌薬耐性の一次スクリーニングを行い,順次,抗菌薬耐性の二次スクリーニングと耐性遺伝子の遺伝学的解析を行う.また,得られた臨床分離株のドラフトゲノム配列を決定し,薬剤耐性と点変異の相関などの解析を試みる.
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Research Products
(28 results)