2016 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内因性収縮力を時空間的に可視化するバイオセンサーの創成
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16H05907
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松井 翼 大阪大学, 基礎工学研究科, 特任助教(常勤) (50638707)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メカノバイオロジー / 収縮力 / バイオメカニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
接着細胞は隣接細胞や接着基板に対して、常に内因性収縮力を発生し続けている。この内因性収縮力は細胞増殖、生存、分化、形態形成など、生命現象の機能調節に普遍的に関与していることが分かりつつあり、その詳しい分子メカニズムが競って調べられている。しかしながら内因性収縮力は可視化が簡単ではなく、新たな実験ツールの開発が求められる。本研究では、内因性収縮力を可視化可能な有用性の高いFRETバイオセンサーを開発し、バイオセンサーの出力と実際に発生している力との関係を求めることで、細胞内、生体内で作用している力を顕微計測可能な実験ツールを生み出すことを目的とする。 そこで研究初年度である当該年度においては、FRETシグナルを高い時間分解能で計測可能なシステムを構築するために、自作で二波長分岐光学系を全反射蛍光顕微鏡システムに導入した。また、電動ステージを導入することでスループットよくセンサー出力を計測できるシステムへと発展させた。 また、単離アクチンストレスファイバーが発生する力を顕微計測するための装置の改良を行うために、長時間の計測時に問題となる熱ドリフトを補正するシステムの構築を行った。現時点ではまだシステムの調整が甘く十分な性能を発揮できていないが、光学系を改善していくことで問題点を克服できる見込みである。 バイオセンサーに組み込む分子・ペプチドを探索するための生化学実験系を立ち上げつつあり、ミオシン調節軽鎖のリン酸化状態を変化させた細胞について、共免疫沈降によりリン酸化状態依存的に結合するタンパク質を捕捉、質量分析によって同定していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関の異動に伴い研究環境の再構築を余儀なくされたために、バイオセンサーに組み込む候補分子の探索にやや遅れが生じている。現時点では、研究環境の整備も完了し、さらに現所属の学内共同利用設備が充実していることもあり、次年度以降に十分遅れを取り戻せる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、生化学的手法と質量分析を駆使することで、ミオシン調節軽鎖リン酸化特異的に結合している分子・ペプチドを探索、同定する。ミオシン調節軽鎖のリン酸化状態に合わせてFRETシグナルが変化するバイオセンサーを構築し、感度よくかつダイナミックレンジが広い分子・ペプチドの組み合わせを探索し、その評価を行う。 また、出来上がったバイオセンサーのFRETシグナルの出力と、実際に発生する力を対応付けるために、単離アクチンストレスファイバーが発生する力の計測とバイオセンサーのFRETシグナルの取得を同時に行うことで、センサー出力と力との対応関係を評価する。
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Research Products
(16 results)