Outline of Annual Research Achievements |
最新鋭の波長可変ライダーに追加の拡張システムを開発/投入することで電離圏 (高度100-300 km) の窒素分子イオン (N2+) のライダー観測を実現させ, 有効な 観測手段の欠如のために理解が遅れている電離圏組成研究の新展開に資することを目指す. 更に, 窒素原子イオン (N+), カルシウムイオン (Ca+) など, その他の電離圏組成を対象とする新たなライダー観測への展開を視野に入れつつ, 新技術や新観測手法の開発への取組みにも挑戦する.
波長可変ライダーによる約2年間の南極昭和基地での集中観測キャンペーンを完遂した. 蓄積した観測データを整備し, 初期的なデータ解析に着手している. 並行して, 集中観測キャンペーンで取得したデータとの比較の為, 関連する過去の観測データ (2000-2002年の南極昭和基地ナトリウムライダー観測データなど) の収集と解析にも取組み, 初期的な解析結果が得られつつある.
一方で, 更なる展開として, カルシウムイオン (Ca+) を対象とする新しいライダーシステムの基本構想についての検討を進めている. 新システムでは, レーザーダイオード励起レーザーを送信レーザーに採用することで高安定かつ高出力の送信レーザー系を構築し, 現システムを超える性能を目指す予定である. 今年度は, 試験用のレーザーダイオード励起レーザーシステムの基本設計を行い, 必要な機材を揃えた. 次年度には, 実際に試験レーザーシステムを構築し, 試験レーザーシステムに関する基礎実験データの取得/詳細検討から, 試験レーザーシステムの性能評価や改善案の検討などを進め, 新レーザーシステム送信系に関する基礎技術の確立を目指す.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
約2年間の南極昭和基地での集中観測キャンペーンを無事に完遂し, 観測データの整備や初期的なデータ解析への取組みを進めた. 並行して, 関連する過去の観測データの収集と解析にも着手し, 集中観測キャンペーンで取得したデータと比較する為の事前準備も進めた. 加えて, 新システムへの取組みも順調に進展している.
|
Strategy for Future Research Activity |
集中観測キャンペーンで取得したデータの解析を中心に進める. 特に, オーロライベント時の観測データに着目し, オーロラ活動に伴う電離圏組成, 大気組成の応答について明らかにしていく. 並行して, 関連する過去の観測データの収集と解析を行い, 集中観測キャンペーンで取得したデータとの比較にも取組む. 加えて, 新システムの基礎開発を進め, 特に, 新レーザーシステム送信系に関する基礎技術を確立することを目指していく.
|