2016 Fiscal Year Annual Research Report
下水飲用再利用における微量物質の膜透過を予測する技術の開発
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16H06104
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤岡 貴浩 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (20759691)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 逆浸透膜 / 飲用再利用 / 微量化学物質 / 分子シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
①数学的透過モデルの構築:微量物質が逆浸透膜を透過する際の輸送現象を数値的に解明して透過予測を行うため、微量物質透過を数学的透過モデルで表現することを目的とした。まず、逆浸透膜を透過しやすいニトロソジメチルアミンの阻止率を構築した透過モデルに入れることにより阻止率に大きな影響を及ぼす膜の空隙径を推定した。この推定値は、文献にある実測値とほぼ近い値であった。また、この空隙径を透過モデルに導入した上で、他のニトロサミンの物性値を使用して阻止率の予測計算を同一膜透過流束条件下で行った。結果、予測阻止率と卓上試験で得た阻止率が非常に近い値を示した。また、この予測は膜透過流束を変更しても有効であり、開発モデルを実証することができた。
②分子シミュレーションを活用した透過計算:精度の高い微量物質の膜透過予測を実現するため、複数の透過機構(分子ふるい・静電相互作用・親疎水性相互作用等)を同時に解析できる分子シミュレーションを使って拡散係数の計算を行った。必要なコンピューター及びソフトウエアを導入し、一辺8nm程度の膜中の高分子鎖構造を構築した。この高分子膜構造中に水及び微量物質(ニトロソアミン4種類)を充填し、逆浸透膜中におけるこれらニトロソアミンの拡散係数を計算することができた。結果、卓上試験で得た透過率と相関が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度中に10個以上の微量物質を計算して実証する予定であったが、初めて取り扱う分子シミュレーション用の操作方法習得に時間がかかった上、計算時間が計画よりも相当長かったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は計算速度がこれまでの2倍程度となることが見込まれるコンピューターを導入し、より多くの微量物質の分子拡散を分子シミュレーションを使って計算し、卓上試験の結果と照らし合わせて実証する予定である。また、これら計算で得た拡散係数を実規模透過モデルに組み込み、パイロット逆浸透膜プラント及び実規模逆浸透膜プラントで得られた結果と照らし合わせることによってプラントレベルの透過予測モデル構築と検証を行う予定である。
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