2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on cold adaptation strategies and secondary metabolites of Antarctic yeast
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16H06211
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
辻 雅晴 国立極地研究所, 研究教育系, 特任研究員 (70756923)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 菌類 / 低温適応 / 全ゲノム解析 / メタボローム解析 / トランスクリプトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の南極観測の拠点である昭和基地周辺では、担子菌酵母の一種Mrakia属菌が培養可能な菌類の優占種となっている。そこで、この地域の湖底堆積物及び土壌から約50株のMrakia属菌を分離し、菌類の分類に広く用いられているITS領域(Internal transcribed spacer)と26SrDNAのD1/D2領域の配列を基に種の同定を行った。その結果、これらの菌株はM. bollopis, M. gelida, M. robertiiの3種に分類することができた。取得した各菌株の至適増殖温度と-3℃での増殖速度を計測したところ、M. blollopis, M. gelida, M. robertiiそれぞれの種に低温での成長が優れている株とあまり成長しない株に分けることが分かった。そこで、それぞれの種から低温での成長能が異なる株を選抜し、全ゲノム解析を行った。その結果、低温での成長に優れた株はゲノムサイズが約30Mbであったのに対し、低温であまり成長しない株ではゲノムサイズが約60Mbと2倍大きいことが分かった。さらに低温であまり成長しない株ではペントースリン酸経路の遺伝子がの部分配列が繰り返し挿入されている可能性があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は昭和基地周辺の試料から研究材料となるMrakia属菌を十分な数、分離することができた。また、これらの株について低温での成長能の調査やゲノムの抽出及び全ゲノム配列の解析も終えることができた。さらに取得した全ゲノム配列の中でも特にペントースリン酸経路に関連する遺伝子の塩基配列も終えることができたことから、順調に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も各実験・分析において、研究の中断または大きな変更を求められるような重大なトラブルが生じる可能性は低いため、基本的には当初の計画通りに研究を推進して行く予定である。
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