2016 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚疾患克服のための「超個体」理解に基づいた皮膚微生物-宿主免疫解析法の確立
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16H06252
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松岡 悠美 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (10402067)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 皮膚細菌叢 / 免疫応答 / 超個体 / 黄色ブトウ球菌 / カンジタ |
Outline of Annual Research Achievements |
常在細菌叢解析は腸管や皮膚などで、近年広く行われ、疾患への寄与が次々と明らかになりつつある。一方、近年、バクテリオファージウイルスによる細菌叢の“群集改造理論”の概念提唱や、真菌叢解析の報告などが報告されるようになった。このような観点から皮膚における、微生物-免疫応答の解析において、細菌叢のみの解析では、対微生物免疫応答の一面しか見られていない可能性がある。しかしながら、依然、共生微生物全体を対象とした微生物免疫応答解析モデルは確立していない。これまで申請者らは、先行する研究において皮膚病原細菌S. aureusや皮膚病原真菌C. albicansにおける、他に類のない経表皮的マウス感染症モデルを樹立し、免疫反応を明らかにしてきた。この系を発展させ、細菌・真菌・ファージを含めた“超個体(Superorganism)”の統合的理解基づく解析を行うことで、より本質的な恒常性の理解よる皮膚微生物-宿主免疫解析法の確立を目指す。これまでに、我々の経表皮黄色ブドウ球菌感染モデルにおけるIL-17の産生細胞が、ILC3とgdT細胞であることを確認した。また、IL-1ファミリーの下流アダプターであるMyD88の角化細胞特異的ノックアウトマウスで表現系が得られたので、IL-36、IL-1に焦点を当て、ノックアウトマウスや抗サイトカイン抗体を用いた実験を行い、表現系を得ることに成功した。マウス表皮角化細胞に黄色ブドウ球菌培養上清で刺激を加えることで、これらのサイトカインが誘導されることを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、29年度以降に予定していた、IL-17サイトカインをを皮膚で誘導するのに必要な黄色ブドウ球菌由来病原因子を同定するという部分に優先的に着手し業績をまとめることを優先した。そのため、皮膚細菌叢解析と病原微生物相互作用を詳細に解析するという当初の計画に遅れが生じている。全体の計画としては順調に推移していると考えられるが小項目の前後が生じているため、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
黄色ブドウ球菌病原因子同定という部分を優先的に行っているため、そちらの計画の進捗状況 を鑑みながら、今後、細菌囃解析と、黄色ブドウ球菌、カンジダなどの皮膚病原微生物の相互作用を解析し、宿主免疫系を統合的に解析する。
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