2016 Fiscal Year Annual Research Report
融合遺伝子に注目した卵巣癌の病態解明と新しい治療戦略の構築
Project/Area Number |
16H06267
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
吉原 弘祐 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40547535)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 融合遺伝子 / トランスレーショナルリサーチ / ゲノム医学 / 卵巣癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の所属する施設にすでに保管され、インフォームドコンセントにより同意の得られている卵巣癌症例の凍結癌組織より、Invitrogen 社のTRIzol を用いてtotal RNA を抽出している。RNAの品質を確認後、Illumina 社のTruSeq RNA サンプル調整キットを用い、ライブラリー作成後Illumina HiSeq 2500でペアエンドRNA シークエンス(100bp)を行っている。 また新規症例・再発症例についても、当施設の遺伝子倫理委員会で承認を受けた説明文書を元に、手術時に試料採取を継続している。さらに、本研究内容について先進ゲノム支援の採択を受け、RNA sequencingを東京大学で行っていただけることになり、当院遺伝子倫理委員会に共同研究に関する追加申請を行い、対象症例のRNAを鈴木研究室に送付済みであり、現在RNA sequencing実験を追加している。 RNA sequencing data解析に向け、PC環境を整備し、独自開発したPipeline for RNA sequencing Data Analysis (PRADA) が実行できる様に準備を完了している。また近年複数のアルゴリズムで融合遺伝子を同定することが求められるため、PRADAとは別にFusionCatcherというアルゴリズムで解析できる様に準備を進めている。Pilot studyとして、卵巣癌細胞株のRNA sequencing dataを用いてPRADA及びFusionCatcherを実行し、融合遺伝子同定精度の検証を行った。さらに卵巣明細胞癌症例におけるRNA sequencing dataを用いてにPRADA及びFusionCatcherを実行し、明細胞癌関連融合遺伝子の同定を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RNA sequencing実験を行うにあたり、先進ゲノム支援を受けることができることになり、検体の送付のために当施設の遺伝子倫理委員会に追加申請を行う必要があったため、今年度予定していたRNA sequence data解析は次年度に持ち越されている。ただし、次年度にスムースに解析を進めることができる様に、コンピューター解析環境は整えており、またパイプラインのテストランもすでに終了しているため、今年度の遅れを取り戻すことか可能と考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、引き続き、卵巣癌に対するRNA sequencingを行うとともに、exome sequencingを追加することで、遺伝子変異情報・コピー数情報の取得を目指す。平成28年度末より進行中の卵巣癌原発巣・再発巣のRNA sequencing実験が終了次第、データ解析を開始し、卵巣癌の再発過程における融合遺伝子の役割を明らかにすべく、再発卵巣癌特異的融合遺伝子の同定を進める。また融合遺伝子情報に、遺伝子変異・コピー数情報を統合して解析することにより、driver eventとしての融合遺伝子を同定する。同定された再発関連融合遺伝子をレトロウイルスを用いて正常卵巣/卵管上皮および卵巣がん細胞株に導入し、融合遺伝子の発現を確認後、融合遺伝子導入前後での細胞増殖能・浸潤転移能・抗がん剤抵抗性などの表現型及び遺伝子発現プロファイルの変化を確認し、融合遺伝子機能を解析することにより、融合遺伝子が再発に与える影響を検証する。 機能的融合遺伝子から治療標的融合遺伝子候補を抽出し、融合遺伝子導入細胞株に融合遺伝子特異的siRNA/shRNA を設計/導入し、融合遺伝子の短期/長期発現抑制が細胞増殖、細胞浸潤能、アポトーシスに与える影響をMTS アッセイ、スフィアアッセイ、マトリゲルアッセイ、フローサイトメトリー等で検討する。さらに化合物ライブラリーを用いて融合遺伝子に対する阻害剤をスクリーニングし、同定された阻害剤の細胞増殖抑制効果について融合遺伝子導入細胞株を用いて in vitro/vivo で検証する。また融合遺伝子陽性の臨床組織を用いて、個々の症例内で治療標的融合遺伝子が均一に発現しているかどうかin-situ hybridazation で検証する。
|