2017 Fiscal Year Annual Research Report
Expression and Function of the Homeostatic Molecule Del-1 in the inflammation and the Periodontal Tissue
Project/Area Number |
16H06272
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
前川 知樹 新潟大学, 医歯学総合研究科, 助教 (50625168)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歯周病 / リウマチ関節炎 / 骨免疫 / 骨代謝 / 抗炎症分子 / 細菌叢 / Del-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,内因性抗炎症分子であるDel-1を応用した,歯周病やリウマチを含めた炎症性骨吸収や細菌叢,骨破壊を制御することを目的としている.平成28年度,29年度の研究により,Del-1の新規の機能として,βカテニンを介さない非古典経路で重要な役割を果たしていることが明らかとなってきた.特に,骨芽細胞系細胞と破骨細胞前駆細胞との間のWnt5a-Ror2シグナル伝達系が,非古典経路の活性化と破骨細胞の分化において重要な因子の一つであることに着目し,Del-1が骨吸収制御にどのように関わっているかを分子レベルで検索した. 野生型マウスとDel-1KOマウスおよびRor2KOマウスより採取した破骨前駆細胞を用い,Wnt5aとDel-1刺激による破骨細胞分化関連分子の変動をウエスタンブロット法とqPCR法にて比較したところ,Del-1はWnt5aによるRANKの発現を制御していた.さらに,Del-1とWnt5a,Ror2との相互作用を,プルダウンアッセイにて結合能を判定したところ,Del-1は,Wnt5aと競合的にRor2に結合することが認められたため,Del-1はWnt5aの競合的拮抗剤として働くと推察された.Wnt5aのデコイ受容体とDel-1接種による破骨細胞の制御に関しては,野生型マウスとDel-1KOマウスを用いたin vivo 歯牙結紮モデルとコラーゲン誘導関節炎を用いて解析したところ,炎症と骨吸収が抑制されていた.以上より,Del-1は,既知のインテグリンを介する破骨細胞分化抑制能と,白血球の遊走抑制による局所炎症の抑制能に加え,新たにWnt5a競合的かつβカテニン非依存的な非古典経路の阻害能を有する可能性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の当初に予定されていたBiacoreによるプラズモン解析では,Del-1とWnt5aとRor2の3者のそれぞれのタンパク質の作成と精製が成功したことで,新しい知見が得られた.すなわち,Del-1がRor2とWnt5aとの活性化に関わる古典的経路を阻害することで骨吸収,骨免疫を抑制する知見が得られた.この結果から,Ror2KOマウスとDel-1KOマウスを用いた炎症性骨吸収抑制の詳細なメカニズムの解明が推進できた. また,前年度に同定された高効率のDel-1を歯牙結紮による歯周炎モデルマウスの歯周炎患部局所に接種し,Del-1の歯周炎へ治療効果を評価したところ、Del-1の炎症性骨吸収抑制が認められた.さらに、研究開始当初には予定していなかったリウマチ関節炎モデルを利用することで,Del-1の適応範囲を全身的に拡大できる可能性を見出した.またDel-1の発現制御メカニズムの一旦を解明することができたことで,加齢によりDel-1の発現が減少しているマウスへの自律的なDel-1の誘導をおこなう新しい戦略を見いだすことができた.加えて,歯周炎モデルマウスに対するDel-1による治療効果の評価において,細菌の構成バランスの変化と組織浸出液(歯肉溝浸出液)の分子生物学的解析により,Del-1接種法の利点を示すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度,29年度の研究成果により,Del-1の古典的経路阻害による骨吸収抑制機構が明らかになったことから,最終年度であるH30年度には,マウスとサルを用いたトランスレーショナルリサーチをおこなう.トランスレーショナルリサーチでは,ヒト40歳~50歳に相当するカニクイザルを用いる.壮年カニクイザルを用いることで,実験的に誘導した歯周炎ではなく,よりヒトの歯周炎に近い自然発症型の歯周炎を研究に使用できる.さらにウシ2型コラーゲンの関節への投与によるサルの誘導型リウマチ関節炎モデルをもちいたDel-1の効果を同時に検討する. 歯周炎やリウマチ関節炎患部へのDel-1の直接的な投与の他に,全身性のDel-1の誘導を試みる.これまでの研究から血管内皮細胞に炎症性サイトカインであるIL-17を添加すると,Del-1の発現が遺伝子・タンパクレベルで抑制されることを明らかにしている.抗炎症効果をもつオメガ脂肪酸であるレゾルビンは,Del-1の産生抑制効果を打ち消すが,恒常的なDel-1の発現レベルにまでのみ誘導が可能である.しかし,ステロイドDHEA添加では,Del-1の恒常的な発現の約100倍に達する発現の上昇が認められた.DHEAのDel-1の制御メカニズムの一端は明らかになってきたが,歯周炎や関節リウマチに対するDHEAによるDel-1の誘導がどのように働きかけるのかを解明する.つまり,DHEAの全身・局所投与による,歯周炎やリウマチにおける炎症や骨吸収への影響を評価する.
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[Journal Article] Sulfated vizantin induces the formation of macrophage extracellular traps.2018
Author(s)
Oda M, Kurosawa M, Yamamoto H, Domon H, Kimura T, Isono T, Maekawa T, Hayashi N, Yamada N, Furue Y, Kai D, Terao Y.
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Journal Title
Microbiol Immunol.
Volume: 0
Pages: 0
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Pneumococcal DNA-binding proteins released through autolysis induce the production of proinflammatory cytokines via toll-like receptor 4.2018
Author(s)
Nagai K, Domon H, Maekawa T, Oda M, Hiyoshi T, Tamura H, Yonezawa D, Arai Y, Yokoji M, Tabeta K, Habuka R, Saitoh A, Yamaguchi M, Kawabata S, Terao Y.
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Journal Title
Cell Immunol.
Volume: 325
Pages: 14-22
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] An ENU-induced splice site mutation of mouse Col1a1 causing recessive osteogenesis imperfecta and revealing a novel splicing rescue.2017
Author(s)
Tabeta K, Du X, Arimatsu K, Yokoji M, Takahashi N, Amizuka N, Hasegawa T, Crozat K, Maekawa T, Miyauchi S, Matsuda Y, Ida T, Kaku M, Hoebe K, Ohno K, Yoshie H, Yamazaki K, Moresco EMY, Beutler B.
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Journal Title
Sci Rep.
Volume: 7
Pages: 0
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Secreted protein Del-1 regulates myelopoiesis in the hematopoietic stem cell niche.2017
Author(s)
Mitroulis I, Chen LS, Singh RP, Kourtzelis I, Economopoulou M, Kajikawa T, Troullinaki M, Ziogas A, Ruppova K, Hosur K, Maekawa T, Wang B, Subramanian P, Tonn T, Verginis P, von Bonin M, Wobus M, Bornh M, Grinenko T, Di Scala M, Hidalgo A, Wielockx B, Hajishengallis G, Chavakis T.
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Journal Title
J Clin Invest.
Volume: 127
Pages: 3624-3639
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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