2019 Fiscal Year Annual Research Report
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16H06277
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 善則 東京大学, 医科学研究所, 教授
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Project Period (FY) |
2016 – 2021
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Keywords | 生体試料支援 / コホート / 臨床検体 / 一般健常人 / 大規模ゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
①総括支援活動 : 従来のシンポジウムに代え、「若手支援研究成果発表会」を豊橋市にて1泊2日で開催し、支援受給若手研究者など32名が参加して成果を発表し、活発な情報交換を行った。東北メディカル・メガバンクと、本プラットフォーム(PF)の基盤の1つである日本多施設共同コーホート(J-MICC)研究の間で、共同研究契約を締結し、両者の連携による研究支援の道を開いた。また、日本生化学会、日本癌学会、日本人類遺伝学会、日本分子生物学会、日本疫学会の学術総会に各々出展し、本支援プラットフォームの研究支援内容を紹介した。 ②コホートによるバイオリソース支援活動 : コホート研究のデータ・生体試料の提供、大規模バイオデータの解析などにより、222件の研究支援を実施した。またJ-MICC研究の初回調査データ(SNPタイピング情報含む)を用いた研究の解析テーマ募集を開始した。支援基盤の整備では、主要な基盤であるJ-MICC研究において、参加者の2回目の調査を終了するとともに、死亡追跡データを整備した。 ③ブレインリソースの整備と活用支援 : 死後脳リソース蒐集を促進するため、ブレインバンク生前ドナー登録推進を沖縄、四国、中国、近畿に拡大した。高齢者ブレインバンクプロトコールに基づく神経病理診断と、RIN、apoE genotypingにより、NIH基準を満たすリソースを提供可能とした。また大阪大学、広島大学に加え、香川大学に拠点を構築した。 ④生体試料による支援活動 : 247課題に生体機能分子の高感度解析・技術支援と連携構築支援を実施した。また、155課題にがん試料・情報(組織、血液)の提供支援を実施し、6,088試料を新規に収集した。最新の研究動向と支援ニーズに応じた解析支援・連携支援・試料支援体制、健常者血液試料収集体制、研究デザイン・倫理支援活動を強化した。さらに、教育・普及・啓発講演を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①総括支援活動 : 「若手支援研究成果発表会」では、被支援者同士、並びに支援者と被支援者間の議論、情報共有が行われ、支援による研究の活性化が強く期待された。また長年、必要性が指摘されながら実現が困難であったゲノムコホート研究問の連携が、一部進捗した。さらにこれまで広報活動が十分でなかった社会医学系学会を含む5学会に関して、学術総会への出展、学会メーリングリストでの研究支援活動の広報を実施し、本PF支援活動の内容を周知することができた。 ②コホートによるバイオリソース支援活動 : 200件以上の研究支援を実施するとともに、被支援研究の成果が、一流国際雑誌掲載論文も含め多数の論文として公表された。またコホート研究のベースライン調査データによる、研究支援メニューの充実を図ることができた。がん、虚血性心疾患、脳卒中の罹患データの整備が今後の課題である。 ③ブレインリソースの整備と活用支援 : 生前献脳同意に基づく死後脳リソース構築が順調に進展した。また、ブレインリソースの国際基準に基づく高品質化、並びに大阪、広島、香川3大学における新規拠点形成が達成できた。また被支援研究の成果の、Nature姉妹誌4論文を含む国際雑誌への発表に貢献できた。ただ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により剖検が3月期より激減しており、次年度への影響が懸念される。 ④生体試料による支援活動 : 最新のニーズと研究動向を踏まえて、高精度分子解析技術による解析支援体制の充実、生体試料バンクのタイムスタンプ記録や手順書整備による国際標準化体制の整備、組織・血液形態学的支援の強化と支援内容・成果の広報・啓発を進めることができた。支援課題数は、生体機能分子解析・技術・連携支援および生体試料収集・提供支援ともに、平成30年度の研究支援実施計画を上回り、国際的にインパクトのある学術発表にも貢献した。
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Strategy for Future Research Activity |
①総括支援活動 : 令和2年度も「若手支援研究成果発表会」を実施し、本PFの支援による研究、特に共同研究の活性化を目指す。東北メディカル・メガバンクとの連携を具体化するとともに、国内の他の生体試料バンクやゲノムコホート研究とも連携を図る。また社会医学系研究者への広報では、日本疫学会に加え日本公衆衛生学会も対象として、学術総会への出展、ホームページやメーリングリストなどで研究支援活動を紹介する。 ②コホートによるバイオリソース支援活動 : 支援件数の増加を図るため、関係学会のホームページ、メーリングリスト、学会展示などで支援活動の広報を行う。支援の主な基盤であるJ-MICC研究(参加者数10.2万人)について、第二次調査データ、および、がん・虚血性心疾患・脳卒中罹患データを、研究支援に活用できるよう整備する。また、がん早期診断マーカー検証支援を、大腸がんを対象として実施する。 ③ブレインリソースの整備と活用支援 : 大阪大学の班長機能を整備し、COVID-19に対する剖検の安全性に配慮しつつ、自閉症、自殺関連気分障害研究リソースの構築、発達障害・精神・神経疾患ブレインバンクの創設を目指す。死後鼻腔スメアによる新型コロナウイルス検査の陰性結果や、院内感染がないことなどの条件に加え、陽性症例についても分担施設ごとの基準に従って、死後脳リソース構築を推進する。 ④生体試料による支援活動 : 多様化する生命科学領域における支援ニーズと技術革新に対応して、支援成果を研究者に還元するため、先進的な分子解析支援技術の導入・強化と人材育成を進め、より多彩で国際水準を確保した試料収集と迅速な提供体制の整備を進める。支援班と先進的研究拠点等との連携、情報共有を維持・強化し、学際的共同研究の構築支援を行う。また、学会や教育の場で若手を含む研究者向け啓発活動を展開し、斬新な研究アイデアの創出を支援する。
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Research Products
(335 results)