2017 Fiscal Year Annual Research Report
Advanced Interdisciplinary Research on Coastal Areas based on Shallow Seafloor Geomorphology: Development of a Paradigm through 3D Seafloor Mapping
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16H06309
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菅 浩伸 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (20294390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 和彦 琉球大学, 理学部, 教授 (00343377)
後藤 和久 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10376543)
長尾 正之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (70251626)
横山 祐典 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (10359648)
長谷川 均 国士舘大学, 文学部, 教授 (80208496)
渡久地 健 琉球大学, 法文学部, 准教授 (30543764)
藤田 喜久 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (20771463)
波利井 佐紀 琉球大学, 理工学研究科, その他 (30334535)
小野 林太郎 東海大学, 海洋学部, 准教授 (40462204)
堀 信行 奈良大学, 文学部, 教授 (40087143)
鈴木 淳 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ長 (60344199)
中島 洋典 有明工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (90172303)
片桐 千亜紀 九州大学, 比較社会文化研究院, 共同研究者 (70804730)
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Project Period (FY) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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Keywords | 海洋探査 / 地形 / サンゴ礁 / 可視化 / 環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,科学的知見がきわめて少ない浅海底において最先端のマルチビーム測深を用いて作成する精密海底地形図を基に,従来の地形学にない「浅海底地形学」を開拓し推し進める。さらに,作成した精密海底地形図を基に,自然科学諸分野から人文・社会科学に至る学際研究をすすめ,総合的環境理解へとつなげることを目指している。29年度は以下を実施した。 1.マルチビーム測深調査:沖縄本島南東の久高島外洋側にて測深調査を行った。久高島は,分担者の後藤和久氏がリーフ上の巨礫分布に関する研究を重ねてきた地域である。サンゴ礁の消波構造をつくる礁縁部から島棚に至る広範囲の測深を実施し,今後の波浪シミュレーションの基になる精密海底地形データを取得した。久高島では礁原部でのドローンを用いた航空写真測量も実施した。 2.浅海底マッピングの高度化:マルチビーム測深域の一部について,より高精度のマッピングを実施する技術の開発および,潮間帯を含めた極浅海域のマッピングを行う方法の検討を行った。より高精度のマッピングは多視点ステレオ写真測量(SfM)を用いて久米島南岸で実施し,高精度マルチビーム測深より1桁高い精度で,テクスチャー情報を持った三次元モデルを構築することができた。これによって地形学と生物学の空間スケールの違いをつなぐことが可能となる。また,マルチビーム測深が難しい極浅海域のマッピングでは,1)ドローンを用いた航空写真測量,2)衛星画像を用いた地形高度の推定,3)航空レーザー測量データとマルチビーム測深データとの接合について検討を行った。 3.学際研究推進のためのツール強化:海底より採取した試料を分析するため,X線回折装置および解析用データベースを充実させた。また,年代測定についてもAMSに加えて,更新統試料にはウラン系列の年代測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本科研費では,毎年地域を絞ってマルチビーム測深調査を実施している。28年度はサンゴ礁漁撈活動を可視化するため奄美大島大和村で測深調査を実施した。29年度はサンゴ礁の防波構造を可視化し,波浪シミュレーションに供する地形データを得るため,久高島外洋側にて測深を行った。測深調査は非常に順調に進んでいる。 さらに29年度からは,マルチビーム測深に新たな手法を組み合わせて,これまでにない浅海底地形図づくりに挑戦している。まず,より高精度のマッピングによって地形学と生物学の空間スケールの違いをつなぐことを目的として,多視点ステレオ写真測量とマルチビーム測量との融合を試みた。これによってマルチビーム測深より1桁高い精度で,テクスチャー情報を持った三次元モデルを構築することができた。さらに,潮間帯などの極浅海域に関して,3つの手法(航空写真測量,衛星画像,航空レーザー測量)とマルチビーム測深を組み合わせ,新たな地形図を作成することを試みている。 国際展開に関しては,28年8月より久米島など琉球列島のマルチビーム測深地域を対象として,オーストラリア・シドニー大学とともに共同フィールド調査を開始した。29年度は9月20~21日にシドニー大学にて共同研究ワークショップを開催した。さらに9月22日には公開シンポジウム「日豪サンゴ礁地形学シンポジウム(JASAG)」をシドニー大学で開催し,日豪より30名以上の研究者が集まり,研究発表・討議を行った。 さらに,浅海底の調査手法とその活用に関するシンポジウム「最先端の浅海底地形図づくりとその活用」を2018年月20日に九州大学椎木講堂にて開催し,産学官から500名を超える参加者を集めた。28年12月に九州大学に立ち上げた先導的学術研究拠点「浅海底フロンティア研究センター」は,本研究課題の実行および研究成果の社会への実装に大きな役割を果たしている。
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Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき,精密海底地形図を基に「浅海底地形学」を開拓する研究,自然科学諸分野から人文・社会科学に至る学際研究をすすめ,総合的環境理解へとつなげる研究を展開する予定である。 引き続き新たな海域でマルチビーム測深調査を進めるとともに,既に測深調査を実施した海域における分野横断的研究を進める。30年度は歴史上意義のある浅海底地形に焦点を当てた測深調査を実施し,31年度は後氷期の海水準上昇で水没した先行地形に焦点を当てた測深調査を実施する予定である。さらに,ボーリングコアや地層探査の解析・堆積物調査などの地質学的調査,波浪観測・シミュレーションなどの防災分野の研究,サンゴや甲殻類などの生物調査,漁場知識等の文化地理学調査,水中考古学調査を推進し,これらを総合して海域の環境理解へつなげる予定である。 また,日豪サンゴ礁共同研究プロジェクトでは,引き続きフィールドでの共同調査を行うとともに,共同ワークショップやシンポジウムなどを開催予定である。30年度は福岡でシンポジウムを開催し,31年度はオーストラリアで開催する予定である。さらに,30年度からは米国の大学との共同研究も開始する予定である。 さらに,研究成果の社会への還元として,浅海底調査手法および高精密海底地形図利用を基にした総合的浅海底研究とその推進に関する産官学連携を進めるため,今後も国内でのシンポジウムやワークショップなどを開催していく予定である。
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Research Products
(47 results)
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[Journal Article] Holocene relative sea level history from phreatic overgrowths on speleothems (POS) on Minami Daito Island, Northern Philippine Sea2018
Author(s)
Miklavic, B., Yokoyama, Y., Urata, K., Miyairi, Y., Kan, H.
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Journal Title
Quaternary International
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Multidecadal oceanographic changes in the western Pacific detected through high-resolution bomb-derived radiocarbon measurements on corals2018
Author(s)
Hirabayashi, S., Yokoyama, Y., Suzuki, A., Miyairi, Y., and Aze, T
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Journal Title
Geochemistry, Geosphysics, Geosystems
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Sequential radiocarbon measurement of bulk peat for high-precision dating of tsunami deposits2018
Author(s)
Ishizawa, T., Goto, K., Yokoyama, Y., Miyairi, Y., Sawada, C., Nishimura, Y., and Sugawara, D
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Journal Title
Quaternary Geochronology
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Temperature-controlled culture experiments with primary polyps of coral Acropora digitifera: Calcification rate variations and skeletal Sr/Ca, Mg/Ca, and Na/Ca ratios2018
Author(s)
Bell, T., Nishida, K., Ishikawa, K., Suzuki, A., Nakamura, T., Sakai, K., Ohno, Y., Iguchi, A., Yokoyama
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Journal Title
Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Radiocarbon variability recorded in coral skeletons from the northwest of Luzon Island, Philippines2018
Author(s)
Hirabayashi, S., Yokoyama, Y., Suzuki, A., Miyairi, Y., Aze, T., Siringan, F., and Maeda, Y
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Journal Title
Geoscience Letters
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] New evidence of Hawaiian coral reef drowning in response to meltwater pulse-1A2018
Author(s)
Sanborn, K.L., Webster, J.M., Yokoyama, Y., Dutton, A., Braga, J.C., Clague, D.A., Paduan, J.B., Wagner, D., Rooney, J.J., and Hansen, J.R
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Journal Title
Quaternary Science Reviews
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Data reporting standards for publication of U-series data for geochronology and timescale assessment in the earth sciences2017
Author(s)
Duttona, A., Rubin, K., McLean, N., Bowring, J., Bard, E., Edwards, R.L., Henderson, G.M., Reid, M.R., Richards, D.A., Sims, K.W.W., Walker, J.D., Yokoyama, Y
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Journal Title
Quaternary Geochronology
Volume: 39
Pages: 142-149
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Typhoon waves on coral reefs2017
Author(s)
Vila-Concejo, A., Duce, S., Nagao, M., Nakashima, Y., Ito, M. Fujita, K., Kan, H.
Organizer
Coastal Dynamics 2017
Int'l Joint Research
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[Presentation] Multibeam Bathymetric Mapping of Reef Geomorphology, eastern Kume Island.2017
Author(s)
Kan, H., Fujita, K., Hasegawa, H., Nagao, M., Nakashima, Y., Hori, N.
Organizer
Japan-Australia Sangosho Geomorphology (JASAG) Workshop 2017
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] Bio-Geomorphological Evaluation of the Depression “Katama”Located in the Reef Edge as a Fishery Ground2017
Author(s)
Toguchi, K., Fujita, Y., Nakai, T., Hasegawa, H., Takahashi, S., Kan, H.
Organizer
Japan-Australia Sangosho Geomorphology (JASAG) Symposium 2017
Int'l Joint Research / Invited
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