2017 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Disputing Behavior and Judicial Policy in the Super-Aging Society
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16H06321
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 岩夫 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (80154037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 昌樹 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (10244625)
濱野 亮 立教大学, 法学部, 教授 (80267385)
太田 勝造 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40152136)
河合 幹雄 桐蔭横浜大学, 法学部, 教授(移行) (40257423)
樫村 志郎 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40114433)
高橋 裕 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40282587)
木下 麻奈子 同志社大学, 法学部, 教授 (00281171)
飯田 高 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (70345247)
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Project Period (FY) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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Keywords | 基礎法学 / 法社会学 / 紛争 / 相談(助言探索)行動 / 訴訟行動 / 超高齢社会 / 司法政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢化が進行する日本社会における人々の紛争経験やそれへの対応行動の実態を定量的方法および定性的方法を統合して総合的・実証的に解明するとともに、超高齢社会化に適切に対応しうる司法制度の構築に関して、司法政策上の実践的提言を行うことを目的とする。 上記の研究目的を遂行するため、研究期間の2年目となる2017年度は、2017年5月に開催された日本法社会学会学術大会においてシンポジウムを実施し、本研究が企図する調査・研究の基本方針・内容・方法等について、関連分野研究者から広く意見や助言を得る機会を設けた上で、本研究の中心をなす紛争経験調査および訴訟利用調査の2つの大規模サーベイ調査を実施した。 1)紛争経験調査として、2017年11月~同12月に、全国に居住する満20歳以上の個人 12,000人を対象に、過去5年間におけるトラブルや納得できないことの経験の有無・種別およびそれへの対応行動、解決の状況等を尋ねる質問紙調査を実施した(郵送法)。2)訴訟利用調査として、以下の3種類の調査を実施した。①訴訟記録調査:全国の地方裁判所において、2014年に終了した民事訴訟約1,500件の事件記録を閲覧し、手続の経過や裁判の結果などについて調査を実施。②訴訟利用調査:上記①で調査した事件の当事者および代理人(当事者・代理人ともに約2,900人)を対象に、2017年12月~2018年2月に、訴訟に至る過程や裁判中の経験、訴訟の結果や評価、超高齢社会に特有の問題等を尋ねる質問紙調査を実施(郵送法)。③一般人調査:上記②の民事訴訟経験者の回答傾向との比較を目的に、2018年3月に、満20歳以上の個人約3,000人を対象に、民事訴訟や超高齢社会の法制度・法政策について尋ねるインターネット調査を実施。 以上の一連の調査を通じて、本研究の目的の遂行に向けて貴重なデータが獲得された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度に、本研究の中心をなす紛争経験調査および訴訟利用調査の2つの大規模サーベイ調査を成功裡に実施し、本研究の目的に遂行に向けて貴重なデータを獲得した。2018年度には、それらのデータの集計・分析を進め、その結果を内外の学会、専門誌等に発表の予定である。合わせて、2018年度には、紛争経験調査および訴訟利用調査に際して追加的な個別面接調査に応じることに同意した者のうちから30~40名程度を抽出して、面接調査を実施する。本研究は、当初の研究計画に従い順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の3年目となる2018年度は、前年度に実施した2つの大規模サーベイ調査(紛争経験調査および訴訟利用調査)のデータの集計・分析、および、面接調査の実施を行う。具体的には以下の活動を行う計画である。すなわち、1)紛争経験調査班および訴訟利用調査班は、前年度に実施した調査の結果について、それぞれ、データクリーニング、アフターコーディング等の作業を行った上で、基礎的な集計結果を報告書にまとめる。2)紛争経験調査班および訴訟利用調査班のメンバーは、各自、調査データについて分析を深める。合わせて、メンバーの一部が、暫定的な集計・分析結果を外国で開催される学会(2018年6月開催予定の米国LSA年次大会、同年9月開催予定のRCSL年次大会ほか)において発表し、外国の研究者との意見交換の結果を今後の分析に活かす。3)紛争経験調査および訴訟利用調査に際して追加的な個別面接調査に応じることに同意した者のうちから30~40名程度を抽出して、面接調査を実施する。この面接調査においては、調査対象者の4割程度が高齢者となるようにし、高齢者の紛争経験に関して詳細な定性的データをなるべく多く収集することに留意する。4)2019年2月頃に、国外の研究者も招いて国際ワークショップを開催する。このワークショップでは、その時点までのデータ分析の結果を報告し、参加した国内外の研究者の間で、今後の研究の取りまとめの方法等について広範囲かつ専門的な意見交換を行う。5)引き続き、班会合(紛争経験調査班、訴訟利用調査班、面接調査班)を開催するとともに、全体会において研究全体の有機的統合を図る。 2019年度以降は、引き続き、紛争経験調査・訴訟利用調査・面接調査の結果の分析を行い、研究成果の全体的な取りまとめに向けた準備を進める。
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Research Products
(52 results)