2019 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Disputing Behavior and Judicial Policy in the Super-Aging Society
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16H06321
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 岩夫 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (80154037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 昌樹 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (10244625)
濱野 亮 立教大学, 法学部, 教授 (80267385)
太田 勝造 明治大学, 法学部, 専任教授 (40152136)
河合 幹雄 桐蔭横浜大学, 法学部, 教授 (40257423)
樫村 志郎 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40114433)
高橋 裕 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40282587)
木下 麻奈子 同志社大学, 法学部, 教授 (00281171)
飯田 高 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (70345247)
D・H Foote 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (10323619)
前田 智彦 名城大学, 法学部, 教授 (10292806)
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Project Period (FY) |
2016-05-31 – 2021-03-31
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Keywords | 基礎法学 / 法社会学 / 紛争経験 / 訴訟経験 / 超高齢社会 / 司法政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1)日本の社会と司法制度に近年生じた2つの重要な変化、すなわち、①超高齢社会の到来および②司法制度改革の進展が、日本社会における人々の紛争経験や、弁護士をはじめとする専門家への相談、裁判をはじめとする紛争処理制度の利用等の紛争対応行動にどのような変化をもたらしたのかを、定量的方法および定性的方法を統合して総合的・実証的に解明するとともに、2)今後不可避的に生じる高齢化率のさらなる上昇によってもたらされる社会の諸変化に適切に対応していくことが可能な司法制度の構築に関して、司法政策上の実践的提言を行うことを目的とする。 5年間の研究期間の4年目である2019年度は、本研究課題の中心をなす2つの大規模サーベイ調査、すなわち、紛争経験調査および訴訟利用調査のデータについて、メンバーが各自の分析関心を設定し本格的な分析作業に着手した。また、紛争経験調査および訴訟利用調査の回答者のうちの応諾者を対象とする面接調査も完了し、そのトランスクリプトに基づく分析も開始した。 全体研究会、班研究会を随時開催するとともに、2019年12月に開催されたアジア法と社会学会(Asian Law and Society Association)においては、本プロジェクト独自のセッション(“Early Findings from Survey on General Public over their Disputing Experience”)を組織し、5本の報告を行った。本プロジェクトの学術的・政策的価値が注目され、関連の学会の招きで、研究代表者およびメンバーが基調講演を行った(司法アクセス学会、2019年11月30日)。訴訟利用調査の分析結果の一部をまとめ、『(東京大学)社会科学研究』の特集(「民事訴訟の実証分析:全国訴訟記録調査から」)として論文6本を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題を構成する紛争経験調査、訴訟利用調査、面接調査の3つの調査は全て完了し、現在、それらのデータについて、メンバーが各自の分析関心を設定し本格的な分析作業を進めている。紛争経験調査班、訴訟利用調査班、面接調査班で議論を重ね、分析テーマの整理も進んでいる。研究成果は、内外の学会、学術専門雑誌で発表するほか、最終的には複数巻の学術書として取りまとめて刊行すべく、準備が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の最終年度である2020年度は、まず、紛争経験調査、訴訟利用調査、面接調査の3つの調査の知見の統合、本研究全体を通じた理論の発展、および政策的提言の導出をめざす。新型コロナウィルス感染症拡大の影響を見極めつつ、オンライン会議も積極的に活用して班研究会で議論を深め、また、本研究の参加者全員が一堂に会しての検討会を複数回開催する予定である。それらの検討と並行して、メンバー各自が内外の学会、学術専門雑誌で研究成果を発表するほか、本研究の最終成果物として、複数巻からなる専門書を作成・出版する準備を着実に進める。現在検討中の分析テーマは20を超え、その内容も、例えば、高齢者のトラブル特性、トラブルの展開過程、法律相談サービス利用の規定要因、司法アクセスへのバリア、法律専門職と福祉専門職の協働、紛争当事者の心理的側面、本人訴訟、訴訟利用における法人と個人の比較、消費者トラブル、職場トラブル、家族トラブル、紛争行動・訴訟行動のジェンダー分析等多彩であり、法社会学研究および実務への大きな貢献が期待される。 さらに、2020年秋ないし冬頃には、本研究の成果を国内外に発信するために、海外の研究者を招いて総括的な国際シンポジウムを開催することを計画している(実際の開催時期・形態は新型コロナウィルス感染症の影響を見極めて検討する)。 本研究において収集されたデータは、研究終了後速やかにデータアーカイブに寄託し、学術目的の二次利用に公開する。
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Research Products
(94 results)