2016 Fiscal Year Annual Research Report
A study of cause of defense
Project/Area Number |
16H06606
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
竹村 壮太郎 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (00711912)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2017-03-31
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Keywords | 民事法学 / 債権法 / 不法行為法 / 減責制度 / 過失相殺 / 素因減責 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.本研究は、不法行為責任制度自体の展開を視野に入れながら、加害者の損害賠償責任を減じる、いわゆる減責制度の将来的な運用方法の探求を課題としたものである。減責制度とは、本来、何らかの不法行為責任の発生を前提としている。それゆえ、その制度をいかに運用しうるかという問題は、不法行為責任の理念、くわえてその周辺の制度の動向を視野に入れながら、考察しなければならない。 2.本研究における考察は、以上の課題を、主に、日本法が常に参照してきたフランス法の展開を参考として、進めた。そのフランス法の減責制度と不法行為責任制度の展開からは、次の示唆を得られた。 すなわち、減責制度の拡張は、責任の厳格化に対する、伝統的なフォート(日本でいう過失に近しい)“責任”の理念を維持しようとする動きによって支持され得た。しかし、労災補償制度、自動車事故賠償制度、医療事故補償制度など、外縁の制度の構築が、“損害賠償”の問題と“責任”の問題を切り離したことで、責任制度は純化し、その理念を背景とした減責制度の拡張は、もはや不要になった。責任とは切り離されて確立した、“損害賠償”制度にあっては、減責は、損害賠償の宛先である被害者自身の責任、賠償権の喪失という観点から説明することが、論理一貫するものとなる。 3.ここで、日本法において減責原因を幅広く運用すべきかどうかについても、周辺の制度の状況を踏まえ、不法行為者の責任という面を強調する必要性があるのかどうかといった点に立ち返った検討の必要性が提示される。交通事故、医療事故などにおける減責制度の運用も、同様の観点から考察を進めることが求められる。 4.本研究の成果の一部として、まずは以上の視点をもとに、日本法における事故類型と減責制度との関係を検討した論考を公表する予定である。その後、本研究の本体である減責制度全体の展望について、まとめていくこととしたい。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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