2016 Fiscal Year Annual Research Report
多能性幹細胞の多段階骨芽細胞分化誘導を用いた顎顔面骨治癒を促進する細胞集団の同定
Project/Area Number |
16H06762
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅家 康介 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90779810)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 多能性幹細胞 / 骨芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請において,無血清培地と低分子化合物を用い、多能性幹細胞から各段階の骨系統細胞 (中胚葉細胞、骨格形前駆細胞、前骨芽細胞、骨芽細胞、成熟骨芽細胞)を誘導し、これらの細胞がどのような細胞特性を持つかを解析する。具体的には,先述のステージにおける,前骨芽細胞、骨芽細胞、成熟骨芽細胞を解析目標としている.さらにこれら細胞集団を頭蓋骨骨折モデルに移植した際、骨形成にどのように働くのかを解析し、頭蓋顎顔面骨骨折治癒に最も促進的に働く骨系統細胞を同定と,骨折治癒メカニズムの解明を目的としている。 本年度は、申請者らが開発した多能性幹細胞の骨芽細胞分化誘導系を用い、多能性幹細胞から各段階の骨系統細胞 (中胚葉細胞、骨格形前駆細胞、前骨芽細胞、骨芽細胞、成熟骨芽細胞)を誘導し、これらの細胞がどのような細胞特性を持つかをそれぞれ解析した。 定量的 PCR 法による遺伝子発現解析において,Runx2, Col1a1 を発現する骨芽細胞前駆細胞、Sp7 やIbsp を発現する前骨芽細胞、Bglap を発現する成熟骨芽細胞へと分化していくことを報告している。さらに、骨芽細胞前駆細胞が認められる前段階では、Dermo1 を発現する骨格系前駆細胞への分化を認めている。骨芽細胞期、成熟骨芽細胞期においては、骨芽細胞マーカータンパクであるRunx2,SP7の高発現および高度石灰化が確認されている。現在,vivo解析に移行するための,足場素材の検討とこれらの結果を基に、遺伝子発現変動のデータの解析の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者らが開発した多能性幹細胞の骨芽細胞分化誘導系の中でも、各段階の骨系統細胞 (中胚葉細胞、骨格形前駆細胞、前骨芽細胞、骨芽細胞、成熟骨芽細胞)を誘導することが確認されており、骨折治癒過程におけるそれら細胞集団の役割に関しての知見が得られる可能性が見込める為。
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Strategy for Future Research Activity |
各骨芽細胞分化段階に対してRNA-seq 解析により遺伝子変化を網羅的に検索を行い、頭蓋骨骨折モデルを用いたin vivoの検証を行い、骨形成作用の分子メカニズムの探索を行う。in vivoの研究においては、評価は、コントロールグループ(細胞非搭載群)との比較を行い、放射線学的に6 ヶ月まで経時的に観察し、骨形成に関する基礎データを蓄積する。術後6 ヶ月までの間に経時的に麻酔後屠殺し、組織学的解析、免疫組織学的解析、in situ hybridization を行い、骨形成能の評価と治癒過程に関する詳細な解析を行う。骨形成作用の分子メカニズムの探索としては、骨芽細胞を酵素的に単離し、FACS にてGFP 陽性細胞を採取する。この細胞集団をRNA-seq とDavid ソフトウェアを用いることにより、生体移植前後の細胞における遺伝子発現の変化を比較する
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