2016 Fiscal Year Annual Research Report
インドにおける大学入学者選抜制度の研究-全国統一型試験の動向に着目して
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16H06884
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥原 雅幸 (渡辺雅幸) 京都大学, 教育学研究科, 助教 (00780909)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | インド / 高等教育 / 大学入学者選抜制度 / 入試改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、主として近年インドで盛んである連邦政府主導による全国統一型試験の導入に着目することで、インドにおける大学入学者選抜制度の特質を明らかにすることである。 2カ年計画の研究計画の初年度にあたる平成28年度には、第一に、本研究全体の基礎的作業として、インドの高等教育制度に関して、最新の状況を把握するよう文献資料を収集し、分析をおこなった。第二に、インドの大学入学者選抜制度に関して、大学入学資格でもある第12学年の修了試験の動向や、主として工学系大学の入試の歴史的変遷および現行制度の文献の収集と分析をおこなった。なお、第一、第二の文献資料の収集については、日本語・英語文献の収集をおこなった。第三に、個別機関における聞き取り調査を実施した。聞き取り調査については、平成29年3月にチェンナイを訪れ、関係者と意見交換をおこなった。 本年度の研究成果としては、「インドの工学系大学における入学者選抜制度の展開 -2010年代以降の全国統一型試験の動向に着目して-」(『京都大学大学院教育学研究科紀要』第63号、2017年、557-580頁)において、工学系の大学を中心とした大学入学者選抜制度の歴史的な変遷や、近年の入試改革の具体的な経緯と内容などを明らかにした。 こうした成果は、これまであまり着目されることのなかったインドにおける大学入学者選抜制度そのもののさらなる理解に加え、少なくとも工学系の大学入学者選抜制度の動向を検討する限り、インドでは中央主導で入試の質と公正さをめぐる議論と実際の改革が進んでいるという新たな知見を得ることができたという意味で、意義あるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2カ年の研究計画のうち初年度にあたる今年度は、インドの大学入学者選抜制度に関わる文献の収集と分析や、現地における聞き取り調査を実施し、それらに伴って研究成果を公表することもできたため、当初に立てた計画をおおむね遂行できていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度はおおむね順調に進められており、最終年度にあたる平成29年度は、申請時に計画にしたインドの医療系大学の入学者選抜制度に関わる研究を実施することで、所期の目的を達成することができると考えている。
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