2016 Fiscal Year Annual Research Report
BRONJモデルマウスにおけるT細胞分画ならびに幹細胞の動態解析
Project/Area Number |
16H06993
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松井 裕一 岡山大学, 大学病院, 医員 (50783776)
|
Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
|
Keywords | 歯学 / 顎骨壊死 / 骨代謝 / 免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究実施計画の一部を変更して遂行した。C57BL/6雌性マウスを1.生食群、2.生食+骨開削群、3.Zol群、4.Zol+骨開削群に分類し、Zol群にはZoledronateを、対照群には生理食塩水をそれぞれ4週間投与した後、ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)誘発のために大腿骨の骨開削を行った。当初の計画ではBRONJ誘発には右側下顎第一臼歯の抜歯ならびに抜歯窩開削を行う予定としていたが、予備実験にて下顎骨骨髄細胞数が非常に少ないことから解析が困難と判断し、代替策として大腿骨の開削を行い解析した。骨開削後4週間は薬剤投与を継続し、その後さらに4週間待機の後にマウスより胸腺、脾臓、末梢血、大腿骨を回収した。胸腺、脾臓、末梢血から得た細胞は抗CD45/CD3e/CD4/CD8/TCRγδ抗体でラベルしTリンパ球分画を解析した。末梢血の一部からは血清を採取し冷凍保存しており、次年度にマルチプレックスアッセイにて各種サイトカインの血中濃度を解析する予定である。大腿骨はパラフィン包埋を行い、4μm厚の切片を作成し、HE染色にて形態学的評価を行った。さらに抗CD3抗体、抗ThPok抗体、抗RUNX抗体にて免疫組織学的染色を行い、各群での対象細胞の数的変化について解析した。その結果、胸腺では1~4群のいずれでもCD4/CD8陽性細胞は増加するのに対し、炎症初期にも応答するγδT細胞は2および3群で増加したが、4群では増加を認めなかった。末梢血においても同様の現象を認めた。一方、二次リンパ組織である脾臓のγδT細胞は1~4群のいずれでも減少した。すなわち、一次リンパ組織において、Zolは炎症反応を抑制する可能性があることが示唆された。また、一次リンパ組織で生じたTリンパ球の増減は末梢組織において反映され、その結果リンパ球の循環が二次リンパ組織まで到達しないと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究遂行中、3.群の半数以上がサンプル回収直前で突然死を起こした。薬剤の投与方法や飼育環境に問題はなく原因は不明であったが、同群に限り再実験を行うこととした。また、フローサイトメトリーにおいて抗CD105抗体、抗Sca-1抗体でもラベルして解析を行っているが各種パラメーターの設定に難渋しており、現時点ではTリンパ球サブセットの解析のみに留まっている。また、形態学的解析については前述の如く対象を大腿骨に変更した。骨開削を行う群では両側に開削を行うと歩行不能となり死亡する恐れがあるため、片側のみ処置を行うこととした。このため、切片作製とCT撮影のうち一方のみでの対応が必要となったため、やむなく切片作製による評価のみ行うこととした。 以上のため、研究計画の一部に遅れが生じている。しかし、マルチプレックスアッセイについては既に準備が整っており、比較的早期に解析が終了する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
BRONJ病態モデルについては近似した環境を大腿骨で再現することで代替し、今年度分の遅延している研究をすすめ、早急に次年度分の研究を行う予定である。 研究費の使用は引き続き消耗品等の物品費、研究発表のための学会旅費および論文作成費用等に使用する予定である。
|