2016 Fiscal Year Annual Research Report
Structural analysis mathod for lipid-derived radicals and its application
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16H07047
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松岡 悠太 九州大学, 薬学研究院, 助教 (20783509)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 脂質 / 酸化ストレス / 質量分析法 / 蛍光分析法 / 蛍光プローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では疾患発症に密接に関与する活性種として「脂質ラジカル」に着目し、その検出・構造解析を可能とする評価系を構築する。さらに、得られた時間・空間的情報、分子情報を統合し、疾患メカニズムを明確化することを目的とする。そのために、本年度では(1) 蛍光検出・質量分析に特化した蛍光ニトロキシドプローブの最適化、(2) 脂質ラジカル-プローブ付加体の一斉構造解析システムの構築とその基礎的応用の二点を計画し、研究を遂行した。 目的(1)では、これまでに申請者らが開発した脂質ラジカル蛍光検出プローブを応用し、試験管レベルで発生させた脂質ラジカルの解析並びに、各測定時における検出感度を評価した。本解析手法はこれまでのラジカル解析手法と比べ、遥かに高感度かつ高選択的であり、生体応用も可能な極低濃度のプローブ量にてその解析が可能であった。 目的(2)では、目的(1)で開発したプローブとLC-FL-MS装置を応用し種々の脂質由来のラジカル種との反応付加体の解析法確立を目指した。本研究は九州大学生体防御医学研究所馬場研究室との共同研究にて行い、付加体の精密質量分析による詳細な脂質ラジカル構造推定に成功した。構造推定に成功したラジカル種の中にはこれまでに報告例のない化合物も多くみられた。さらに、各脂質より生成するラジカル種とプローブ付加体のクロマトグラムパターンをリストアップすることで、包括的かつ簡便に多様な脂質ラジカルを一斉解析可能なシステムを構築することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は蛍光プローブ・LC-FL-MS装置を用いた脂質由来のラジカル種との反応付加体の解析法確立を目的とした。本研究ではこれまでに報告例のない多くの新規脂質ラジカルの検出に成功しており、これらの結果は本手法の感度の高さを示すものであり、さらに脂質過酸化反応を紐解く上で極めて有益な知見であるとも言える。また、予備的に本解析手法を疾患モデル動物へと適用したところ、生体内にて生成した脂質ラジカルの解析にも成功している。来年度は、以上の結果をさらに発展させるとともに、種々の疾患モデル動物への応用を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本年度に開発した脂質ラジカル解析法を用い、(1) プローブ-脂質ラジカル付加体の一斉構造解析システムの構築とその基礎的応用、(2) 種々の疾患モデルにおける脂質ラジカルの蛍光検出・構造解析を進めていく予定である。目的(1)では前年度までに開発した脂質ラジカル一斉構造解析システムを用いて、培養細胞もしくは生体試料中において生成する脂質ラジカル種のならびに構造解析を行う。構造解析については引き続き馬場研究室との共同研究にて行う。目的 (2)では、これまでに、種々の病態モデルにおいて生じる各脂質ラジカルの量的変動を追跡する。ニトロソアミンや四塩化炭素、アセトアミノフェンは肝臓において代謝活性化を受けることにより、脂質過酸化反応を惹起し、後に種々の肝疾患を誘発する。そこで、これら疾患発症初期課程において、どのような脂質ラジカルがいつ、どこで生じているか、時間的・空間的・量的・質的評価を行う。以上、得られた結果より、各疾患発症時におけるそれぞれの脂質ラジカルの役割について明らかにすることで本研究を総括する。
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Research Products
(3 results)