2016 Fiscal Year Annual Research Report
次世代の多機能CLTの開発 - 森林資源の活用を促進する革新的な木質構法 -
Project/Area Number |
16H07087
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鷹野 敦 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (70778092)
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Project Period (FY) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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Keywords | 建築構造・材料 / 木質材料 / 木質構法 |
Outline of Annual Research Achievements |
林業の活性化や地球温暖化の抑制の観点から、建物への積極的な木材の利用が国策として進められている。特にCLT(直行集成板)に代表される「塊」としての木材の利用が注目を集めている。本研究では、木の材料特性を活かした付加価値の高い「多機能CLT」の開発を行う。 研究期間(2年)を5つのステップに分け、1)CLTに関する体系的調査、2)CLTの多角的評価、3)適材適所なCLTの使用と材料としての発展可能性(=多機能化)の考察、4)試験体による性能検証、5)多機能CLT試作品の作成と成果のまとめ、の流れで研究を行う。平成28年度は1)から3)に取り組んだ。 まず、CLTに関する「材料的・構法的特徴」「法令・規制」及び、使用に際し建物の各部で求められる「性能と仕様」について、文献調査をもとに体系的な整理を行った。同時に、CLTの先進国であるオーストリアにおいてCLTの製造工場やCLTを用いた建物の視察を行い、最新の情報を収集するとともにCLTの利用に関する現状を学んだ。 次に、それらの情報をもとにCLTの材料的及び構法的な長所と短所について、「意匠性」「構造性」「環境性」「経済性」の4つの視点から分析を行った。客観的に記述されたCLTの特性を踏まえ、a)CLTを用いると合理的な建物部位、b)それらの部位でのCLTの改善可能性、について考察を行った。 また、木材の利用促進に関連する木質資源の問題についても、日本国内、及び同量の森林資源を有するフィンランド国内の状況について、主に統計データをもとに定量的な把握を行い、CLTのような新しい木質材料の活用に関して別の視点からの考察も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画作成時に想定した5つのステップに従い、1年目に予定した研究活動を順調に進めることができた。研究の成果を学士論文3編にまとめ、得た知見の集積を行うとともに、次年度取り組む内容の検討及び準備を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の成果を踏まえ、今年度は当初の計画通り、試験体を用いた性能改善の検証を行い、試作品の製作を行う予定である。試験体を作成するための資材の手配や、各種実験の下準備などをすでに進めている。可能な限り合理的に研究を進められるよう、協力者との連携を図りながら進めていく予定である。
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