2016 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞の小胞輸送に関与する新規遺伝子の同定とその機能
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16J03008
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山口 優 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | Rabタンパク質 / 破骨細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
破骨細胞は骨分解を担う多核細胞である。破骨細胞が骨を吸収する際には、波状縁とよばれるユニークな細胞膜を形成し、この膜からミネラルを溶解するプロトンや有機質成分を分解するタンパク質分解酵素が放出される。この破骨細胞の特徴的な極性輸送・小胞輸送の理解は、新しい骨代謝疾患の予防・診断・治療に繋がる可能性を秘めている。本研究では、破骨細胞で新たに同定したRab44の機能解析することを目的としている。本遺伝子がどのように破骨細胞で機能していくのか解析を進める。さらにその他の組織や細胞でも発現しているRab44の機能の解析を進めていった。Rab44 mRNAレベルはマクロファージ系細胞にRANKL添加後上昇し、2日目にピークに至った。Rab44をsiRNAでノックダウンした破骨細胞ではコントロール細胞より多核化・巨大化を示した。さらに、Rab44抑制破骨細胞では種々の破骨細胞マーカー遺伝子の発現上昇が認められ、骨吸収能も増大していた。逆にRab44を過剰発現させると単核細胞が有意に多く存在し、全てのマーカー遺伝子の発現抑制を示した。従って、Rab44は破骨細胞分化を負に制御することが示された。Rab44を発現した細胞ではゴルジ体および後期エンドソーム・リソソームに局在しており、初期エンドソームの肥大化を引き起こすことも分かった。Rab44発現細胞では破骨細胞分化のシグナルのNFATc1の顕著な低下が認められた。さらに詳細な解析により、Rab44はRANKL刺激によるCa2+ oscillationの変化とリソソームからのCa2+流入に顕著な変化が認められた。以上のことから、Rab44はCa2+-NFATc1 経路を介して破骨細胞の分化を抑制していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rab44に関して細胞レベルに関する解析は終了している。遺伝子ノックダウン及び過剰発現系に関する解析を行いRab44は破骨細胞分化を負に制御するこを見出している。さらに、Rab44はRANKL刺激によるCa2+ oscillationの変化とリソソームからのCa2+流入に顕著な変化が認められたことから、Rab44はCa2+-NFATc1 経路を介して破骨細胞の分化を抑制していることが明らかとなった。これらの知見は現在論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
Rab44結合タンパク質の同定 一般的にRabタンパク質には多くのエフェクタータンパク質が結合することが知られている。そこでRab44タンパク質に結合するタンパクを同定する。特に破骨細胞では、極性輸送を示すことから、新規のタンパク質と結合する可能性も十分考えられる。そこでRab44遺伝子の Over expressionの実験系を用いて、Rab27Aプルダウンアッセイを行い、結合タンパク質をプロテオーム解析により同定する。 Rab44 遺伝子欠損マウスの解析 我々が調べたか限りではRab44は組織特異的遺伝子であり、骨髄、血液細胞、副腎、血清中、血小板、肺胞、尿、脳、膵臓、悪性黒色腫などに検出される。従って、本遺伝子の機能を探るべく遺伝子欠損(ノックアウト)マウスを作製し、その機能に関して解析を試みる。
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