2016 Fiscal Year Annual Research Report
1分子解像度でRNA-タンパク質複合体の細胞内分布を一斉計測する新テクノロジー
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16J06287
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石黒 宗 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | RNA-タンパク質相互作用 / RNAイメージング / DNAバーコード / 合成生物学 / 細胞動態解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、一細胞レベルで細胞内におけるRNA分子の多重的計測およびRNA-タンパク質間相互作用イベントを一斉同定するための基盤技術を開発している。本技術は、一細胞ごとのRNA分子やそれらと相互作用するタンパク質群の不均一性、細胞内局在などの解析に広く利用されることが期待される。今年度は主に、(1) アクチンを対象にRNA分子イメージングの系を構築、(2) イメージングデータの解析パイプラインの構築、(3) 一細胞を標識するためのRNAバーコードを発現させる実験系を構築、の主に3点について取り組んだ。 HeLa細胞で高発現のmRNAとして知られるACTB mRNAを対象とし、in situ cDNA合成と環状型プローブのライゲーションと増幅、蛍光プローブのハイブリダイゼーションを行った。その後に、共焦点レーザー顕微鏡により増幅シグナルを観察したところ、一細胞の解像度でヒトACTB mRNA由来の増幅シグナルを検出することに成功した。更に、得られた顕微鏡画像データから一細胞毎にシグナルを画像解析パイプラインにより定量した。定量されたシグナルは、先行研究とも概ね一致することが確かめられた。これらの知見は、細胞内におけるmRNA分子の特異的増幅とその検出が可能であることを示している。また、本システムによる応用を探るため、細胞毎にランダムなバーコードを恒常的に発現させる培養細胞株を樹立した。このように細胞毎にランダムに標識されたバーコードを細胞内で検出することで、細胞間コミュニケーションや不均一な細胞集団の動態解析に貢献できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初から目的としていた細胞内におけるcDNA合成、padlockプローブのハイブリダイゼーション、Phi29ポリメラーゼによるcDNA増幅と蛍光シグナルの検出を実証することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ガラススライド上に固定された細胞内でcDNA合成を行ったのち、in situ RNAシーケンシングを行う。また、ランダムなバーコードが発現する細胞を用いて、任意のRNA分子が検出できるかを検討し、任意の遺伝子の摂動解析やがん細胞集団の不均一性の解析への応用可能性を探る。
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