2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K00531
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 仁美 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球内部物質循環研究分野, 研究員 (60572659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常 青 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球内部物質循環研究分野, 技術副主幹 (30359195)
森川 徳敏 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ長 (90392670)
岩森 光 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球内部物質循環研究分野, 分野長 (80221795)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 温泉水 / スラブ / 流体 / 非火山域 / 重元素 / 希土類 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度も概ね計画通り進んでいる.前年度に引き続き,四国の調査を行った.深部の情報を保持する可能性のある泉源を,深層地下水データベースの主溶存元素組成を元に,深部低周波地震の分布を考慮して選定した.採取した四国(徳島・香川・愛媛・高知)の試料については,開発済みの手法を用いた分析作業が進捗中である.但し,高知県高知市内については,候補となる泉源が密集しているため,平成30年度に調査を行う. 平成28年度に採取した紀伊半島(三重・奈良・和歌山)の試料は,希土類元素の分析作業をほぼ終え,主溶存元素組成,酸素-水素同位体比と合わせて高次元のデータベース作成を進めた.これにより,従来の地球化学的見地に加え,クラスタリングと主成分分析を相補的に用いて多変量解析を行う統計的手法(Iwamori et al., 2017)を,高い信頼度で適用できるようになりつつある. 現在までの分析・解析の結果,帯水層で沈殿物を生成したと考えられる特徴をもつ泉源が,調査地域の広い範囲に湧出していることを確認した.また,沈殿物生成の効果を補正し,深部に由来する流体の特徴を捉えつつある.これらに関わる,東北~中部日本のプレート境界域の深部流体について論文化を行った(Nakamura et al.,2018,Tectonophysics)関連する成果は,国内学会で発表を行った(中村ほか,日本地球化学会年会;中村ほか,火山学会年会).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試料採取はほぼ計画通り行われているが,一部で予定を変更する必要が生じている.深部の情報を保持する可能性のある泉源が,高知県高知市内に集中していることが分かり,高知市内の調査を平成30年度に行う必要がある.重元素同位体の分析については,分析前処理の過程で生じる元素分別を評価し,バックグラウンドを定量化することで,今後の濃縮プロセスをより具体的に検討する段階に入っている.REE元素の定量については問題なく進捗しており,順次国内学会での公表を行っている.以上により,全体の研究進捗状況としては,変更なく行うことができると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は最終年度のため,解析・議論を主として行いつつ,分析・調査を進める.これまでの成果(Nakamura et al., 2016)から,溶存ガスが泉質の形成過程に影響を与えるのではないかと考えており,昨年度からガス成分も採取している.ガス成分の採取には時間がかかるため,本課題完了時の試料総数は減る見込みである.また,追加的に調査する必要が生じた高知県高知市内において,調査と試料採取を行う.これは,深部の情報を保持する泉源が集中している可能性があり,今後の研究展開のためにも,現段階で検討する必要があると判断したためである.今後の調査に回すなどの判断をしながら,全体の計画内容に支障のないように行う方針である.
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Causes of Carryover |
高知県高知市の調査と分析消耗品の購入を本年度に行うことにしたため.
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