2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K00532
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
藤木 徹一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, 主任技術研究員 (30598248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木元 克典 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, 主任技術研究員 (40359162)
石谷 佳之 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (60772043)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞内共生 / FRR法 / 原生動物 / 原核藻類 / 光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細胞内共生という現象の解明を目指し、貧栄養海域で新たに発見した原核藻類のラン藻と宿主原生動物の関係を光合成に着目して明らかにするものである。本研究は、平成28年度から30年度までの3年間の計画で、初年度である本年度は、(1)宿主内ラン藻の光合成活性の測定法の確立、(2)ラン藻の生物量と光合成活性の定量的評価の2つのの研究課題に取り組んだ。以下にその具体的内容を示す。 (1)高速フラッシュ励起蛍光法(FRR法)で、宿主細胞内のラン藻の光合成活性を測定するため、照射する励起光源を真核藻類の光吸収効率が高い青色LEDから、ラン藻の光吸収効率が高い色のLEDを選定・変更した。また、ラン藻から放射される微量の蛍光を精度よく測定するため検出器の改良を行った。これらの光源変更と検出器改良を行い、代表者がこれまで取り組んできた共生藻でのFRR法の測定プロトコル(励起光の強度や時間、検出器の感度調整等)を基に、ラン藻の光合成活性測定に適した測定プロトコルの検討を行った。 (2)平成28年10月に横浜国立大学臨海環境センターに面した相模湾真鶴沿岸域(Sta.M)で、海域の現場環境の測定(現有機器を用いる)と共に、生物試料をネット採集した。この採集試料から、実体顕微鏡を用いて、ラン藻をもつ原生動物を単離し、FRR法でラン藻の光合成活性と生物量を測定した。また、原生動物とラン藻の種の分類・同定のため、検鏡用(光学顕微鏡と電子顕微鏡)とDNA解析用の試料を採集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラン藻の光合成活性測定に必要な機器の改良と測定プロトコルの決定を行った。また、相模湾真鶴沿岸域でラン藻をもつ原生動物を採集し、その光合成活性を測定することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、貧栄養海域での生物試料の採集・測定を行う。さらに、現場観測と飼育実験を行うことで、宿主内ラン藻の光合成活性の変動要因やラン藻が宿主原生動物の生存や生育に及ぼす影響を調べる。
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Causes of Carryover |
本年度は、FRR法を用いた宿主内ラン藻の光合成活性測定法を確立するため、主に機器改良と測定プロトコルの検討に取り組み、現場観測は神奈川県の真鶴沿岸域のみで実施したため、当初計画していた沖縄県の瀬底沿岸域での観測に必要な物品費と旅費を使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現場観測に必要な消耗品と試薬の購入及び旅費に使用する。
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Research Products
(2 results)