2017 Fiscal Year Research-status Report
水環境中汚染物質の常時監視・記録のための時間加重平均型サンプリング法の確立と適用
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16K00629
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
久保田 領志 国立医薬品食品衛生研究所, 生活衛生化学部, 主任研究官 (80392299)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | モニタリング / パッシブ法 / 水環境 / 汚染物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
実験室内でのパッシブサンプラーを用いたキャリブレーション試験を実施した。対象物質は、有機物質は前年度スクリーニングの結果選定した20種の農薬類等、無機物質は14元素であり、用いた固相は有機物質はスルホン化ポリスチレンジピニルベンゼン共重合体、無機物質はキレート樹脂とした。キャリブレーション試験は、試験溶液各2Lに有機物質は各物質0.5 μg/L、無機物質は各元素10 μg/Lとなるように対象物質を添加し、これに、拡散抑制用膜(有機物質:ポリエーテルスルホン膜、無機物質:酢酸セルロース膜)有り無しのパッシブサンプラーを各3併行で、1週間、2週間及び3週間の浸漬期間(試験溶液は常時撹拌し、毎日交換した。)で実施し、実験室内での各対象物質のエムポアディスクに吸着した物質量(Cd, mg/disk)及びサンプリングレート(Rs)を算出し、拡散抑制膜有り無しで比較した。その結果、有機物質ではジノテフラン等5物質と、無機物質ではホウ素等5元素以外で直線的なCd値の増加が認められ、浸漬日数と捕集物質量の両者が直線関係となる浸漬期間であることが確認できた。また、拡散抑制用膜有りの条件でやや良好な結果であった。採用した条件で実環境(河川)でのパッシブサンプラーを用いた試験を行った。浸漬時間は実験室でのキャリブレーション試験と同様に1週間、2週間及び3週間とし、拡散抑制膜有りの条件で、スポット採水試料は同期間に4回採取した。現在実環境データについて、解析及び実験室内でのキャリブレーション試験との比較等を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験室内でのパッシブサンプラーを用いたキャリブレーション試験を実施し、サンプラーの浸漬日数(day)とサンプラーに捕集された各対象物質の物質量(Cd, mg/disk)をXYプロットして両者が直線関係となる浸漬期間の探索と、その期間におけるサンプリングレート(Rs)の算出は予定通り行えた。実環境(河川)におけるパッシブサンプラーを用いたサンプリングとそれに関連したスポット採水も実施・分析等は完了し、現在、それらの解析及び実験室内の結果との比較等を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
パッシブ法の高分解能MSによるノンターゲット分析への適用および新規汚染物質の探索について行う。パッシブ法の試料について高分解能MS等で測定し、ノンターゲットスクリーニングを行う。水道原水等から検出された主要な新規汚染化学物質については、各浄水処理工程水(流量比例コンポジット試料)についても採水し、同様の分析・解析を行い、浄水処理工程(通常処理および高度処理)による挙動を評価することも考えている。
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Causes of Carryover |
(理由) 研究費の経理の関係で次年度扱いとされた購入物品があったため、次年度使用額が発生した。 (使用計画) 上記理由のため、次年度使用計画には影響しない。
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