2017 Fiscal Year Research-status Report
農業地域における太陽光発電の導入可能量に関する研究
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16K00648
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
島崎 洋一 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (30313787)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 太陽光発電 / エネルギー効率化 / 環境調和型農林水産 / 地理情報システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、農山漁村の活性化および環境保全の推進の観点から、地理情報システムを活用し、農業地域における太陽光発電の導入可能量を明らかにすることを目的とする。農業地域の最重要課題のひとつである耕作放棄地の有効利用に焦点をあてる。 本年度は、首都圏の耕作放棄地における太陽光発電の導入可能量を分析した。2015年農林業センサスを用いて、1都7県(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都(島嶼部は除く)、神奈川県、山梨県)の農業集落単位の耕作放棄地面積を求めた。耕作放棄地面積は、総農家の耕作放棄地面積と土地持ち非農家の耕作放棄地面積の合計とした。これに単位面積あたり太陽光発電設置容量を掛けて、太陽光発電の賦存量を算出した。次に、法規制による開発不可地域を考慮するため、賦存量の中で自然公園地域・自然保全地域と重なる農業集落を排除し、太陽光発電の導入潜在量を算出した。最後に、送電線を引き込む費用を抑えるため、導入潜在量の中で送電線が通過する農業集落を抽出し、太陽光発電の導入可能量を算出した。 分析の結果、首都圏における耕作放棄地の太陽光発電の賦存量40.8GW、導入潜在量32.6GWM、導入可能量15.2GWを明らかにした。1都7県別では、賦存量、導入潜在量、導入可能量のすべてにおいて、茨城県が最も多く、東京都が最も少ない結果が得られた。太陽光発電の導入可能量が多いのは、茨城県、群馬県、千葉県であることがわかった。ただし、本分析では耕作放棄地面積を不定形の農業集落単位で扱っており、土地の最大傾斜角度や最大傾斜方向を考慮していないことに留意する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、地理情報システムを活用して、首都圏1都7県の耕作放棄地における太陽光発電の導入可能量を同一の前提条件で試算することができた。従来、農林水産省の補助事業として、農山漁村再生可能エネルギー導入可能性調査が42の都道府県において実施された。しかし、各委託先が都道府県別に調査を実施したため、再生可能エネルギーの導入の前提条件にばらつきが生じる課題を残していた。 また、ソーラーシェアリング(営農型発電設備)に関する現地調査を実施した。農林水産省のソーラーシェアリングの導入事例を参照して、五平山農園(いすみ市)、一般社団法人ちば耕援隊、株式会社エスパワー(富里市)、千葉エコ・エネルギー株式会社(匝瑳市)、一般社団法人ソーラーシェアリング協会(市原市)を訪問した。太陽光発電の導入に関する最新情報を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、耕作放棄地面積を不定形の農業集落単位ではなく、定形のメッシュ単位に変換し、土地の最大傾斜角度や最大傾斜方向を考慮することによって、首都圏1都7県における太陽光発電の導入可能量を相対的に分析する。また、農山漁村における再生可能エネルギーに関する現地調査を実施し、農業地域と再生可能エネルギーの共存による地域活性化の実態を把握する。
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Research Products
(4 results)