2018 Fiscal Year Research-status Report
人間中心設計を用いた視覚障がい者のための空間デザインツールの開発
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16K00714
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
笠松 慶子 首都大学東京, システムデザイン学部, 教授 (90296385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池井 寧 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (00202870)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | ロービジョン / メンタルモデル / 人間中心設計 / 見え方 / エクスペリエンスマップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人間中心設計を用いて視覚障がい者が不便を感じることなく、快適に生活を送るための空間をデザインするツールを開発することを最終目的とする。 昨年度までは、文字情報を得ることで空間歩行時のメンタルモデル形成にどのような効果が期待できるかについて実空間での調査を行った。その結果、文字情報が空間のメンタルモデル構築に与える影響としては、視覚情報の有無で差が生じる可能性が挙げられ、また、文字情報の読み上げによるサポートの際には、文字情報のある位置の情報も同時に求められることがわかった。このように、歩行様態におけるメンタルモデル構築に影響を及ぼす要素について明らかにすることができた。 今年度は、これらの成果をもとに効果的な文字情報の空間への配置について検討し、実ユーザへのインタビューを含め、エクスペリエンスマップを作成した。視覚障がい者として、ロービジョン者、全盲者を含め、4名のユーザへのディープインタビューを行い、質的分析から歩行時のエクスペリエンスに関わる事象、場所・環境、思考、感情、他者との関わりについてエクスペリエンスマップを製作した。これらのエクスペリエンスマップを活用するための評価実験を行い、空間に必要なデザイン要件の選定を行い、以下のような視点でデザイン要件を検討することが重要であることを明らかにした。1)位置把握、Wayfinding 、2)情報共有、3)出来事の記録、4)多様な文字情報の取得、5)テクノロジーへの還元などの社会向上のためのデータの2次活用、6)視覚情報から音声情報への変換機能向上のための工夫、7)文字以外の環境情報の取得、の7項目である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画に基づき、これらの成果をもとに効果的な文字情報の空間への配置について検討し、実ユーザへのインタビューを含め、エクスペリエンスマップを作成した。視覚障がい者として、ロービジョン者、全盲者を含め、4名のユーザへのディープインタビューを行い、質的分析から歩行時のエクスペリエンスに関わる事象、場所・環境、思考、感情、他者との関わりについてエクスペリエンスマップを製作した。これらのエクスペリエンスマップを活用するための評価実験を行い、空間に必要なデザイン要件の選定を行い、以下のような7つの視点でデザイン要件を検討することが重要であることを明らかにすることができた。1)位置把握、Wayfinding 、2)情報共有、3)出来事の記録、4)多様な文字情報の取得、5)テクノロジーへの還元などの社会向上のためのデータの2次活用、6)視覚情報から音声情報への変換機能向上のための工夫、7)文字以外の環境情報の取得、の7項目である。 次年度は、これらの視点を考慮した空間をデザインするためのプロトタイピングの検証を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度として、これまでの成果を学会にて発表し、空間をデザインするためのプロトタイピングの検証を行う。歩行時のエクスペリエンスマップを作成したことにより、心理的側面として心の動きが明らかになり、ロービジョン者が歩行する際のサポートとなる要因を提案できる。このツールの応用可能性としては、空間デザインだけではなくプロダクトデザインのデザインプロセスで活用することにより、視覚障がい者が快適に使用できるプロダクトの開発に寄与することが期待できる。今後開催が予定されているオリンピック・パラリンピックの会場でのサイン計画やロービジョンケアの施設の空間デザインに活用することができ、空間の移動において視覚障がい者の不便さを低減した空間の提供が可能となる。
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Causes of Carryover |
次年度に向けてプロトタイピングの検証を行うためのツールについて検討しており、検証のためプロセスを繰り返し行うことが必要であり、そのためプロトタイピングのために次年度に使用する必要があるとともに、学会発表を行うための旅費として確保する必要がある。
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Research Products
(4 results)