2018 Fiscal Year Research-status Report
地元地域を創生するインクルーシブデザイン養成プログラムの開発と実践
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16K00735
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Research Institution | International College of Technology, Kanazawa |
Principal Investigator |
土地 邦生 国際高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (30390446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 臣仁 国際高等専門学校, 国際理工学科, 教授 (10530834)
小高 有普 国際高等専門学校, グローバル情報学科, 准教授 (70636670)
伊藤 周 国際高等専門学校, 国際理工学科, 准教授 (40532544)
小川 隼人 国際高等専門学校, 国際理工学科, 准教授 (20536734)
伊勢 大成 国際高等専門学校, 国際理工学科, 講師 (20734594)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インクルーシブデザイン / デザイン思考 / 地域創生 / 3次元測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のテーマは「地元地域を創生するインクルーシブデザイン養成プログラムの開発と実践」である。平成30年度の主な研究実績は、1)ハンダ供給装置の自書による作成の申請書類で特許を出願したこと、2)本研究のプログラムにより開発した照明付き観察装置およびハンダ供給装置の実証実験を生産現場で実施し有効性を確認したこと、3)正反射金属材の3次元測定における青色レーザーの有効性を確認したことである。 顧客の極端な意見を考慮した発想、設計、試作、試用を繰り返すことで新たな価値を創出するインクルーシブデザインは普遍的な方法とされている。典型的な高等教育機関の地域連携は地域に活動拠点のある大規模事業者との共同開発である。成果は注目され易いが地元地域の企業業績に繋がらないことも多い。全国390万事業者中169万者が小規模事業者であり大規模事業者は1万者と少ない。特に、製造業の生産波及の大きさは2.13と他産業1.93と比較して大きいので、製造業小規模事業者の活性化は地元地域の創生に繋がるに違いない。加えて、問題を発見し解決する能力が要求される工学教育にも好適である。インクルーシブデザイン開発プログラムの適用効果を生産性の改善として数値化できるからである。 3Dスキャナ―により3次元データを測定するには入射レーザー光が被測定物表面で乱反射されなければならない。インクルーシブデザインでは正反射材の3次元データがしばしば必要となるが、この測定データが得られず新たな創作の妨げになることがある。この課題を解決するために3Dスキャナ―用レーザーを赤色から青色に改良し正反射金属材料の3次元測定を試みたところ、一部の正反射材料で明らかな改善が見られた。これは正反射金属材料表面からの乱反射光によるものではなく、金属原子の散乱によるものではないかと推測され、正反射材の3次元測定の可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの進捗状況は「(3)やや遅れている」と自己評価した。やや遅れた理由は、1)ハンダ供給装置を自書により作成した申請書類で特許を出願したこと、2)LED直照式額帯鏡を電子素子用照明付き観察装置に発展させ生産現場で実証実験を実施したこと、3)青色レーザー3Dスキャナーを試作したための時間を要したためである。 出願した特許は自書により作成した申請書類の不備により方式審査で法令に定める要件を満たさず手続補正指令書(方式)に従い補正書類の提出が求められた。特許庁から送付された指令書は申請書類の補正事項に関し懇切丁寧に解説されていたために、補正書類の作成は容易であったが出願特許2件の補正には多くの時間を費やした。 照明付き観察装置およびハンダ供給装置を利用して生産する製品は受注生産品である。注文が無ければ開発プログラムの適用効果は測定できない。発想から試用のサイクルで試用の実施に日数を要すこともあった。 3Dスキャナーでは被測定物表面で乱反射する入射レーザー光の一部を検知することで3次元測定を行っているので、入射レーザー光がほぼ正反射する鏡面金属の3次元測定は困難であるとされている。どのような波長のレーザーでも鏡面では正反射されるが、金属の反射率には波長依存性があり、波長の短いレーザー光では入射光の一部が表面の金属原子で散乱され3D測定が可能となることが本研究で示唆された。そこで、3Dスキャナーを改造して赤色レーザーを青色レーザーに替えて鏡面金属物体の3D測定を実施し実験結果を解析した。 本研究の研究期間は3年間から4年間となり1年間遅れた。これは1)インクルーシブデザイン養成プログラムの開発に不可欠な実用例が2件になったこと、2)自書による特許出願2件の方式審査に時間を要したこと、3)青色レーザーを適用した3Dスキャナーを製作し正反射金属材料の3D測定を実施したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発した技術に関する出願特許2件は方式審査を完了したので、本年度はこの出願特許2件に基づき開発した「地元地域を創生するインクルーシブデザイン養成プログラムの開発と実践に関する研究発表」である。照明付き観察装置における照射光の光束化技術およびハンダ供給装置におけるハンダ供給機構はこの養成プログラムの成果である。更に、自書による特許出願の効用、生産性および利益率の改善による有効性の検証、地元地域の創生効果などを成果として公表できる見込みで、高等専門学校の地元企業への貢献と地元地域の創生が主要な研究成果となる。 金属の可視光領域での反射率には波長依存性があることが知られている。これは金属表面の原子で入射光が散乱されるためで、この散乱光の利用で正反射金属材料でも3次元測定が可能となる可能性が本年度の研究で示唆された。赤色レーザーの波長は約650nm、青色レーザーの波長は約450nmである。銅およびアルミニウムの赤色光の金属反射率は90%以上である。また、青色光の反射率は銅では40%に低下するがアルミニウムではほとんど低下しない。鉄の青色から赤色の可視光領域での反射率は50~60%程度である。金属反射率が小さいほど金属表面での散乱は大きいに違いない。赤色および青色レーザーを用いた3Dスキャナーを製作し、銅、鉄、アルミニウムの3次元測定を実施、測定結果を解析することで、正反射金属材の3次元測定の可能性を検討したい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額の発生理由について記述する。本研究では多種多様な要求に対応が可能な3D造形システムの開発も重要な研究課題である。本研究のコミュニケーションドローイングの迅速な造形において正反射金属材料の3D測定が求められるが、未だ開発途上であり様々な研究や開発が未完成のままである。これまでの研究で正反射金属材でも3次元測定実現の可能性が示唆されているので、令和元年度はこの課題解決に残予算を充当して一定の結論を得たい。 次に使用計画について記述する。まず、インクルーシブデザイン開発プログラムを有効性の追加実験および検証に要する経費に充当予定である。また、3Dスキャナーを改造するための部品購入に残予算を充当する予定である。出力の異なる赤色、緑色および青色レーザーや取付けジグや制御装置の購入費用である。また、学会発表の交通費にも充当予定である。
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Research Products
(4 results)